今日はいい天気ですね~。
家の周りを散歩してきましたが、7時台ですでに暑い!
早くも熱中症に気をつける季節がやってきた感がありますね。
みなさんもお気をつけてください。
さて19日の米国株式ですが、取引終盤に売り圧力が高まりナスダック指数以外は小幅に下落して終えました。
実際の経済状況を考えると、明らかに株価は高い水準にあります。
昨日の売りには、市場の参加者の警戒心が見て取れますね。
前回は上値の重い米国株式が豪ドル相場に与える影響について考えてみました。
詳しくは以下のコメントをご覧ください。
今日と明日も株式にらみの通貨を取り上げます。
その通貨とは...
ブラジルレアル
です。
第1回目 新興国の雄ブラジルの今昔物語 / ブラジルレアルは上下に振れる不安定な状況へ 今後の焦点は?
ブラジル経済の今昔物語
ブラジルと言えば、2000年代前半に「新興国の雄」として、注目を浴びた時期がありました。
下のチャートは2000年から2008年のGDPです。
最大で...
6%を超える成長
もありました。
ちなみに2000年から2008年の経済成長率は...
平均で3.8%
でした。
この高い成長率と将来性を武器に、ブラジルは多くの投資家の注目を集めました。
日本でもブラジルの高金利に注目した金融商品が、これでもか!というくらい販売されていましたね。
私のかつての同僚も、ブラジルの高金利と連動したファンドを購入していましたね...
しかし、そんな栄光の時代は長く続かず、現在のブラジル経済は低迷しています。
2009年以降の成長率を見ると、2010年をピークに低下の傾向が鮮明となり、マイナスへ落ち込む年も見られました。
今年も現時点で...
マイナス0.3%
のマイナス成長となっています。
ブラジル経済のネックは「財政問題」
ブラジルの経済成長が低迷している理由の一つが...
財政の問題
です。
汚職や国営企業の放漫な経営がブラジルの財政をどんどんとむしばみ、気が付くと2019年の対GPD比での財政赤字の比率は...
75.9%
にまで膨らんでしまいました。
2020年には90%を超えると予測されています。
まぁ、日本の財政赤字のGDP比率は200%(224.82%!)を軽く超えているので、人の国のことは言えませんが...
とにもかくにも、この財政問題がブラジル経済のネックとして多くの投資家に意識されると、これまで流れ込んでいた大量の投資マネーが一気に引く事態となりました。
投資マネーが一気に引くさまをブラジルの通貨レアルの動向で確認すると...
2012年あたりから徐々にブラジルレアル売りの圧力が高まっていることがわかります。
そして2014年10月に米連邦準備制度理事会(FRB、以下ではFEDと表記)が、市場に大量の資金を供給する「量的緩和政策」に終止符を打つと...
レアル売りが一気に加速
しました。
FEDの量的緩和政策によって、覆い隠されていた放漫な財政政策があらわになったからです。
2016年から2017年にかけては1米ドル=3.0~3.5レアルという、米ドル高/レアル安の水準がずっと続き、2018年に入ると、再びレアル安が加速しています。
放漫な財政問題に加えて...
米中の貿易摩擦の悪影響
が意識されたためです。
米中の貿易摩擦とは、言い換えれば中国経済のリスクであり、中国経済のリスクは新興国の経済リスクにつながります。
このような連想からレアルには売り圧力が高まりました。
コロナショックが追い打ちをかけてきた!
財政の問題を抱えたまま、時代は2020年に突入。
そして、突然「コロナショック」がブラジルを襲ってきました。
新型コロナウイルスは当初、欧米の先進国を中心に感染が拡大しました。
しかし、4月後半以降の推移をみると、ブラジル国内での感染拡大が一気に進んでいることがわかります。
直近の感染状況を国別で確認すると...
ブラジルは米国に次ぐ世界第2位の感染大国
となっていることがわかります。
そしてブラジル国内の死者数も
世界第2位
となっています。
コロナショックは単に感染拡大だけがリスク、というわけではありません。
当然、経済への打撃も考える必要があります。
上のチャートで見たとおり、ブラジル国内の経済はマイナスに落ち込んでいます。
ということは、政府としては日本や米国のように経済対策を打つ必要があります。
対策を打つということは...
お金を使う
ということです。
お金を使う、ということは...
財政出動を行う
ということです。
財政の問題が解決されていない状況で財政出動を行う、ということは...
財政の問題がますますクローズアップされる
ということになります。
連想ゲームのようですが、実際このようなことが為替市場で意識され、今年の5月14日にブラジルレアルは対米ドルで...
史上最安値となる1米ドル=5.9708レアル
をつける展開となりました。
ちなみに史上最安値を付けた後、レアル高へ転じています。
そして先週以降、再びレアル安へ転じており、トレンドが上下に大きく振れました。
なぜこのような展開となったのか?
明日はこの点について考えてみましょう。
まとめ
今回のまとめです。
- 200年代前半のブラジルは「新興国の雄」として多くの投資マネーを呼び込んだ
- しかしFEDの量的緩和が終了すると放漫な財政政策が問題視され、ブラジルの経済は徐々に低迷していく
- ブラジルの経済が低迷は通貨レアル安が物語ってきた
- 財政の問題をかかえたまま、現在は「コロナショック」に直面
- 今年の5月にブラジルレアルは対米ドルで史上最安値となる5.9708をつけた