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【米国株】逆イールドとアメリカ経済の関係、そして有効な投資戦略とは? 前編

ーこの記事は3分で読めますー

今回と次回に分けて、逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターン、そして景気の先行きリスクに対応するための投資戦略についてお話します。

前編となる今回は、最近ニュースのヘッドラインで見かけるようになった『逆イールド』とアメリカ経済のトレンドパターンについて、のお話です。

前編のテーマ

・逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターン


この記事はこんな方におすすめ

こんな方におすすめ

  • アメリカ株(米国株)の投資に興味がある人
  • アメリカ株(米国株)の投資を始めたばかりの人

 

この記事で何がわかるの?

わかること

  • 逆イールドの意味について
  • 逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターンについて
  • 景気の先行きリスクに対応する投資戦略について

金利のことを学ぶなら

今回のメインテーマは、『金利』です。

私たちにとって金利はとても身近で、大きな影響を与える存在です。

しかし、どれだけのことを知ってるの?と聞かれると、『うーん...』となってしまう人が多いのではないでしょうか。

そんな方にお勧めするのが、以下の本です。

No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本

※画像をクリックするとKindle版へ

著者の上野泰也氏は、この世界で名の知れ渡ったエコノミストです。

そんな著者が『これでもか!』というくらい分かりやすく『金利のキホン』について解説したのが、本書です。

この本は、『そもそも金利ってなんだろう?』という疑問から始まります。

みなさんが抱くであろう疑問から出発し、日銀や米FRBが行ってきた金融政策とは何か?

それが経済へ与える影響ってなんだろう?

ということを、図解入りで簡単に説明してくれています。

また、短期と長期の金利ではどのような違いや特徴があるのか?

ネット上でもよく聞く複利って?

これらの疑問にも、懇切ていねいに解説してくれています。

これだけの内容を詰め込んで、ページ数はたったの270ページ!

この1冊を読めば、金利のキホンについて完全にマスターすることができるでしょう!


本題

さて、本題です。

まずは、今回の主役である『逆イールド』とは何か?

この点についてお話します。

 

逆イールドって何?

結論からいうとー

逆イールドとは?

期間の短い金利の水準が、期間の長い金利の水準を超える状況のこと

を逆イールド、といいます。

ちなみに、期間の短い金利の水準が、期間の長い金利の水準よりも下にある状況を『順イールド』といいます。

 

本来、金利差は順イールドになる

そして、以下が重要なポイントです。

逆イールドとは?

本来であれば、金利差は順イールドになる

順イールドをチャートで表すと、『右肩上が』となります。

なぜか?

期間が長ければ長いほど、将来の景気やインフレの予測が難しくなります。

将来の予測が難しければ難しいほど、リスクは高くなります。

逆に予測する期間が短ければ短いほど、将来の景気やインフレの予測がしやすくなります。

将来の予測がしやすいほど、リスクは低くなります。

よって、高いリスク(期間が長すぎて予測することができないリスク)を織り込んで、長期の金利は高くなります。

一方、相対的に短期の金利は低くなります。

この結果、『長期金利ー短期金利』の差は『右肩上がり』になるのが正常な状況なのです。

 

逆イールドは目先の景気リスクが高まっているシグナル

一方、話題となっている逆イールドをチャートで表すと、『右肩下がり』となります。

本来であれば『右肩上がり』になるはずの金利差チャートが『右肩下がり』になるということは、目先の景気後退リスクが急速に高まっていることを示す動きと考えることができます。

なので市場参加者は、近い将来にアメリカ経済が後退局面(リセッション)に陥る可能性を警戒し始めるのです。

 

逆イールドが何か?ということがお分かりいただけたと思います。

次は、今回のメインテーマである『逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターン』について確認しましょう。

逆イールドとアメリカ経済の関係

先週、期間が10年(長期の金利)と2年(短期の金利)の金利差が逆転するー

金利の逆転

逆イールド

が発生しました。

そしてこの現象は、1980年以降、何度も発生しています。

下のチャートを見てください。

逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターン その1

出所:FRED / 期間(1976年)

※10年債利回りと2年債利回りの格差
※グレーゾーン:アメリカの景気後退局面(リセッション)

1980年代以降、この逆イールドが発生すると最短で1年くらい、最長で2年くらい、平均して1年半後に、アメリカ経済は後退局面(リセッション)に陥るパターンが見られます。

 

しかし、多くの市場参加者は別の期間の金利差にも注目しています。

それが、『10年と3ヶ月の利回り格差』です。

こちらの長短金利の差を確認すると、まだ逆イールドの状況には陥っていません。

下のチャートを見てください。

右端の緑ゾーンが、『右肩上がり』の順イールドになっていることがわかります。

逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターン その2

出所:FRED / 期間(1982年)

※10年債利回りと3ヶ月利回りの格差
※グレーゾーン:アメリカの景気後退局面(リセッション)

なぜ、『10年と2年の利回り格差』と『10年と3ヶ月の利回り格差』の両方が重要なのか?

それは、過去のトレンドパターンにあります。

もう一度、上2つのチャートを見比べてみると、『10年と2年の利回り格差』と『10年と3ヶ月の利回り格差』が”ともに逆イールドとなった後”、平均して1年半後にアメリカ経済はリセッションに陥るパターンが見られます。

現状、金利差が逆転して(逆イールドとなって)いるのは『10年と2年の利回り格差』のみです。

『10年と3ヶ月の利回り格差』のトレンドは、むしろ長短の金利差が拡大する『順イールド』の状況にあります(チャート緑ゾーン)。

よって、現時点ではアメリカ経済がリセッションに陥るかは不透明、というのが投資家の間の見方です。

だからこそ、このブログを執筆している時点でのアメリカ株(米国株)は反発トレンドを維持していると思われます。※
※2022年4月6日時点

 

パウエルFRB議長が重視する金利差

さらに、もうひとつ注目しておくべき金利差があります。

それがー

注目の金利差

現在の3ヶ月金利と市場が予想する18カ月後の3カ月

です。

なぜ、こんなややこしい金利差が重要なのか?

それは、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のトップ、パウエル議長が『この金利差を重視している!』と、今年3月21日の全米企業エコノミスト協会(NABE)の講演で述べたからです。

現在のところ、こちらの金利差も『順イールド』です。

順イールドということは、『まだまだ景気は大丈夫!』とパウエルFRB議長は思うでしょう。

なので、今年5月以降の連邦公開市場委員会(FOMC)から、FRBは金融引き締め政策の強化を進めていくでしょう。


注目の長短金利差

  • 10年と2年の利回り格差
  • 10年と3ヶ月の利回り格差
  • 現在の3ヶ月金利と市場が予想する18カ月後の3カ月

ではどうするか?

しかし、ジェイは今年の後半のどこかで、少なくとも『10年と3ヶ月の利回り格差』が逆イールドになると予想しています。

その理由は、性急な金融引き締めは、アメリカ経済を後退させる最大の要因になると考えているからです。

『10年と2年の利回り格差』だけでなく、『10年と3ヶ月の利回り格差』も逆イールドになれば、アメリカの株式市場では将来の景気後退を強く意識し上値が重くなるか、もしくは今年1月から3月中旬にかけてみられた下落局面が再びやってくる、とジェイは予想してます。

こういった予測のできない先行きリスクに対して、私を含めた個人投資家はどのように対応すれば良いのか?

その対策の一つがー

対策

高配当株への投資

です。

株価の下落リスクを相殺するために『インカムゲイン』ーつまり配当でカバーしようとする戦略です。

この点については多くの投資家も意識しているようで、以下の記事の冒頭では、高配当投資に関する記事を2つ(日経新聞とウォール・ストリート・ジャーナル)ご紹介しています。

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ジェイも『アメリカ経済の先行きリスク→米国株の下落リスク』を意識し、大手製薬会社のアッビィ(ABBV)などの高配当株を保有しています。昨年後半から買い増しもしています。

 

それと同時に、もうひとつ対策を練っています。

それがー

もうひとつの対策

連続増配株への投資

です。

むしろ、ジェイはこちらの方を重視したポートフォリオをつくっています。

なぜ高配当株の投資ではなく、”連続増配株への投資” なのか?

そして "どのような" 連続増配の銘柄に投資をすれば良いのか?

後編となる次回の記事では、この2つのことについてお話します。

後編のテーマ

  • 連続増配株に投資する理由
  • おすすめの連続増配銘柄

金利のことを "深く" 学ぶなら

今回の記事を読めば、逆イールドとアメリカ経済のトレンドパターンについての基本を知ることができたと思います。

しかし、金利と経済の世界は奥が深く、この記事ひとつではとても伝えきれません。

もっと知識を深めたい方には、本で勉強することをおすすめします。

冒頭でご紹介したー

は、多くの人が『金利とはなにか?』を理解するための入門書です。

 

そして、『金利と経済の関係はどのようにつながっているのか?』を深く理解するための良書がこちらです。

おすすめ本

金利を見れば投資はうまくいく
画像をクリックするとKindle版へ

この本は全部で9章あります。

著者はファンドマネージャーとして長年活躍されている堀井正孝氏です。

全章を通して一貫しているのは、『金利を見ることの重要性』です。

どの金融商品に投資をしようが、金利を見るのと見ないのとでは、世界経済に対する見方や理解の深さがまったく違ってきます。

そんな金利の奥深い世界を簡単な文章で読めるのが本書です。

ぜひご一読ください。


今回のまとめ

まとめ

・逆イールドとは短期金利の水準が長期金利の水準を上回る状況のこと
・逆イールドが発生するとアメリカ経済は後退局面を迎えるトレンドパターンがある
・逆イールド発生→景気後退までの期間は平均で約1年半
・先行きリスクに対応するための投資戦略は『連続増配銘柄への投資』

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


注記事項

ジェイの米国株投資ブログ(以下当サイト)に掲載されている記事は、投資の助言を目的としたものではありません。当サイトに掲載されたコンテンツの正確性については、可能な限り注意を払っています。しかし、意図せず誤情報が紛れ込む可能性や情報そのものが古くなっている可能性があり、その正確性を完全に保証するものではありません。
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