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【11月 米国株の展望】トレンドを左右するのはFOMCと2つの経済指標

ーこの記事は5分で読めますー


まず最初に、以下のチャートをご覧ください。

米国株と世界株式のチャート

日足(2022年10月)

注目して欲しいのが、オレンジのラインで示した『10月14日(金曜日)』です。

この日を境にして、米国株(VTI)も世界の株式(VT)も同時に上昇基調へ転じていることがわかります。

しかも、グリーンのラインで示した10月21日以降、さらに上昇の幅が拡大しています。

 

株価が上昇トレンドにあることを考えるならば、今後の焦点はー

今後の焦点

  • 11月もこの上昇相場が続くのか?

という点にあります。

 

そこで今回の記事では、11月の株式市場ー特に米国の株式市場はどのような展開となるのか?

この点について考えてみます。

まずは結論から。

その後、今回の結論に至った理由を述べます。


経済を学ぶための入門書

今回の記事では株式市場だけでなく、経済指標のデータを使って11月の株式展望を考えます。

今回の記事を読むだけでも、経済と市場の基本的な関係を知ることができます。

しかし、当然ながら全部を学ぶことはできません。

なのでジェイは、初心者の方向けに基本かた経済を学ぶことができる『入門書』を3冊お勧めしています。

本屋さんでパラパラと中身を見て、自分に合うと感じた入門書を読んでみてください。

どの本も『そもそも経済って何?』を楽しく、かつ分かりやすく学ぶことができる良書ばかりを厳選しました。


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結論

  • 11月のFOMCで利上げペースの減速を示唆すれば『米金利の低下→株高』を予想する
  • しかし中長期のトレンドを決めるのは『経済指標』である
  • 特に注目すべきは『インフレ関連』『雇用関連』の経済指標である
  • 金融引き締めの最中で 年初来の高値を更新する可能性は低いだろう

この記事はこんな方におすすめ

  • 11月相場の注目ポイントを知りたい人
  • 株式、特に米国株を中心に投資をしている人
  • 経済や投資のことを勉強したい人(おすすめ本の紹介)

本題

10月21日の前と後

株式市場の上昇トレンドが加速したのがー

加速した日

  • 10月21日(金曜日)から

でした。

では、この日何があったのか?

それは、米国を代表する経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』がー

WSJの報道

  • 利上げのペースが減速する

可能性について報道したことにあります。

具体的にはー

11月の連邦公開市場委員会(通称FOMC)では、次回の12月会合で利上げのペースを減速するかどうか?が政策議題になる

と、WSJは報じました。

 

米金利のトレンドが転換

なぜ、WSJの報道が重要なのか?その理由はー

理由

  • アメリカ金利の反応

にあります。

アメリカの金利、特に長期金利(10年債利回り/ 以下では米長期金利)の動きは、米国の株式市場に大きなインパクトを与えます。

その米長期金利は10月21日を境に(WSJの報道を機に)、上昇から低下のトレンドへ転じています。

米長期金利のチャート

チャート:Trading View(15分足)

そして、冒頭で述べたとおり米国の株式市場は、米長期金利の低下にサポートされるように上昇トレンドへ転じています。

つまり、米長期金利と米国株との間にはー

  • 米長期金利の上昇 → 米国株の下落
  • 米長期金利の低下 → 米国株の上昇

という関係が成立しているということになります。

 

WSJを利用して情報をリークするFRB

アメリカの中央銀行にあたる『連邦準備制度理事会(通称FRB)』は、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)をよく”利用”します。

FRBがWSJを利用する目的は何でしょう?

それはー

利用の目的

  • 情報のリーク

です。

FRBサイドは、WSJサイドに”今後行うであろう政策情報の一部”をあえて流します。

その目的はー

リークの目的

  • 市場の反応を探る

ことにあります。

そうすることでー

FRB
今のタイミングなら、この政策を実行しても市場は混乱しないだろう
今のタイミングでこの政策を導入すると、マーケットは荒れるかもしれない...
FRB

など、将来起こり得る状況をFRBは事前に察知しようとするのです。

 

注目すべきは経済指標

10月21日のWSJの報道で、FRBを率いるパウエル議長はひとつの情報を得ました。

それはー

得た情報

  • いかに金融市場が大幅な利上げを恐れているか

ということです。

この点は、上で述べた10月21日の前と後の米長期金利と米国株の動きを見れば、一目瞭然です。

ということは、11月だけでなく12月のFOMCでもパウエルFRBが『0.75ポイント利上げ=大幅な利上げ』の可能性を示唆すれば、米長期金利には再び上昇の圧力が強まることが予想されます。

そして米国株には、下落の圧力が高まるでしょう。

 

では、パウエルFRBはマーケットに配慮して、11月1日~2日に開催されるFOMCで利上げペースの減速シグナルを発信してくるのでしょうか?

WSJを利用して情報をリークしていることを考えるならば、その可能性があるとジェイは考えています。

実際にパウエルFRBが利上げペース減速のシグナルを発信してくる場合、米国のマーケットはー

米長期金利の低下 → 米国株の上昇

という展開が予想されます。

しかし最も重要なことは、冒頭で述べたように11月を通して上昇トレンドが続くかどうか?にあります。

この点を考える上で重要となるのがー

重要なこと

  • アメリカの経済指標

です。

なぜなら、パウエルFRBが打ち出す政策のすべてが、経済指標をベースとしているからです。

しかし、経済指標と一言でいっても、色々とあります。

今、最も注視すべき経済指標はー

経済指標

  • インフレ関連の経済指標
  • 雇用関連の経済指標

です。

インフレ関連の指標

現在、世界の経済が直面する最大の問題はー

最大の問題

  • インフレの進行

です。

アメリカのインフレ動向を考える時、市場参加者は2つの指標に注目します。

インフレ指標

  • 消費者物価指数(通称CPI)
  • 個人消費価格指数(通称PCEデフレーター)

消費者物価指数(CPI)の推移を見ると、総合の方ではピークアウトの兆しが見え始めています。

しかし、変動幅の大きい食品とエネルギーを除いたCPIコア(Core)を見ると、上昇の基調を維持しています。

アメリカのインフレ率:CPI

データ:米商務省 / 2020年以降 / 月次(前年比)

 

一方、10月28日(金曜日)に発表された個人消費価格指数(通称PCEデフレーター)は、前年比で6.2%と高止まりの傾向にあります。

またCPIと同じく、総合指数の方はピークアウトの兆しが見えますが、コア指数は上昇基調にあります。

アメリカのインフレ率:PCEデフレーター(PCE)

データ:米商務省 / 2020年以降 / 月次(前年比)

これらインフレ指標の推移を見る限り、 『思ったよりもインフレが低下しない』という状況が、今後のリスク要因となる可能性があります。

これらインフレ指標が高止まりの傾向を示す場合、パウエルFRBは利上げ政策を続けるか、いったん利上げを停止をしても、政策金利の水準を高く保つ可能性が高まるでしょう。

もちろんそんな状況は、米国の株式市場にとってネガティブな要因となるでしょう。

 

雇用関連の指標

一方、雇用関連の指標も重要です。

なぜか?それはー

重要な理由

  • 賃金の上昇がインフレの低下を阻害する可能性がある

からです。

賃金の上昇ーいわゆる『賃金インフレ』は企業の人件費を増加させる要因です。

人件費がコストである以上、その増加分をサービスやモノの価格に転嫁しないと、企業は生き残れません。

ゆえに賃金インフレは、社会全体のインフレの低下を阻む要因となるのです。

 

では、アメリカの賃金動向を確認してみましょう。

アメリカの平均時給

データ:米労働省 / 2021年以降 / 月次(前年比)

2021年4月を境にして、急上昇した賃金の伸びですが、今年の3月をピークに一転して低下の傾向にあります。

しかし、前年比で5%前後と高止まりの状況が続ています。

11月のFOMCは、1日~2日に開催されます。

そして4日(金曜日)に、10月の米雇用統計が発表されます。この指標で、最新の賃金動向も判明します。

雇用統計が総じて予想以上の場合、特に平均時給が予想以上か高止まりする場合は、パウエルFRBがFOMCで利上げペースの減速を示唆してもー

展望

  • 米長期金利の上昇 → 米国株の下落

という展開を警戒しておくべきでしょう。

 

年初来の高値を更新する可能性は低い

株式の投資家、特に米国株を中心に投資をしている人にとって理想的な展開はー

理想的な展開

  • 利上げペースの減速
  • インフレと賃金の低下

が確認されることです。

これらが重なれば、利上げのリスクは一気に後退するでしょう。

それゆえ、米長期金利の低下幅が拡大すると同時に、米国株は上昇トレンドを維持することが予想されます。

 

QTを忘れていないか?

しかしジェイは、米国株の上昇トレンドが続いてもー

ジェイの展望

  • 年初来の高値を更新する可能性は低い

と考えています。

そう考える理由は、2つあります。

2つの理由

  • 金融引き締めの最中にあること
  • 景気後退のリスクがあること

パウエルFRBが利上げのペースを減速させても、金融引き締め政策を止めるわけではありません。

利上げに注目が集まりがちですが、もうひとつの金融引き締め政策であるー

もう一つの政策

  • 量的引き締め政策(通称QT)

を実行中であることを忘れてはいけません。

 

QTとは?

量的引き締めを英語で表すと『Quantitative Tightening』となります。
この略語が『QT』です。
QTを簡単にいうと、『中央銀行が保有する資産を圧縮して市場に出回るマネーの量を減らしていく』政策のことです。

 

2020年3月から2021年10月までQTとは逆の政策ー量的緩和政策(通称QE)を実施していました。

QE(Quantitative Easing)は、QTとは逆のことをします。

なので、金融市場にはFRBからお金がジャブジャブに流れ込んできました。

これが、投資の資金として利用され、米国株やビットコインなどの暗号資産はバブル相場となりました。

しかし、その資金源は先月から月間で最大950億ドルというペースで減少し続けます。

つまり、投資の資金源がどんどんと細っていくということです。

 

景気後退のリスクを忘れていないか?

そして何よりも警戒すべきはー

警戒すべきこと

  • 世界経済の後退リスク

です。

この点については、以下の記事をご参照ください。

前編
【ブログ再始動】2022年も残り2か月余り 米株の見通しは?-前編

ーこの記事は3分で読めますー 目次ブログ再始動結論この記事はこんな方におすすめこの記事で何がわかるの?本題”インフレが低下しない”というリスクパウエルFRBの失策さらに考えるべきリスク要因とは?おまけ ...

続きを見る

後編
【ブログ再始動】2022年も残り2か月余り 米株の見通しは?-後編

ーこの記事は5分で読めますー 半年ぶりに再始動した前回の記事では、今年(2022年)の米国株(アメリカ株)は下値を模索する展開が続く、と指摘しました。 そして米株安が続く理由として、2つのリスク要因を ...

続きを見る

 

11月に米国株が上昇しても、インフレと賃金の高止まりが続く場合、株高トレンドは続かないとジェイは考えています。

仮に上昇トレンドが続いても、上で述べた2つのリスク要因-『QT』『景気後退』のリスクがくすぶる状況にある以上、米国株が年初来の高値を更新する可能性は低いと想定しています。

 

上昇トレンドを形成する時期は?

では、米国株はどの時期になれば、再び上昇トレンドを形成するのか?

次回の記事では、この点について考えてみたいと思います。

こうご期待!


今回のまとめ

まとめ

  • 11月の米国株はFOMCと経済指標の内容次第でトレンドが決定されよう
  • 米利上げペースの減速とインフレ&賃金の低下が確認される場合は、株高トレンドが続くと予想する
  • しかし米国株が年初来の高値を更新する可能性は低いだろう
  • 2つのリスク要因ー『QT』と『景気後退』のリスクが米国株の上昇を阻む可能性がある

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


注記事項

ジェイの米国株投資ブログ(以下当サイト)に掲載されている記事は、投資の助言を目的としたものではありません。当サイトに掲載されたコンテンツの正確性については、可能な限り注意を払っています。しかし、意図せず誤情報が紛れ込む可能性や情報そのものが古くなっている可能性があり、その正確性を完全に保証するものではありません。
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