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まず最初に、以下のチャートをご覧ください。
米国株と世界株式のチャート
注目して欲しいのが、オレンジのラインで示した『10月14日(金曜日)』です。
この日を境にして、米国株(VTI)も世界の株式(VT)も同時に上昇基調へ転じていることがわかります。
しかも、グリーンのラインで示した10月21日以降、さらに上昇の幅が拡大しています。
株価が上昇トレンドにあることを考えるならば、今後の焦点はー
今後の焦点
- 11月もこの上昇相場が続くのか?
という点にあります。
そこで今回の記事では、11月の株式市場ー特に米国の株式市場はどのような展開となるのか?
この点について考えてみます。
まずは結論から。
その後、今回の結論に至った理由を述べます。
経済を学ぶための入門書
今回の記事では株式市場だけでなく、経済指標のデータを使って11月の株式展望を考えます。
今回の記事を読むだけでも、経済と市場の基本的な関係を知ることができます。
しかし、当然ながら全部を学ぶことはできません。
なのでジェイは、初心者の方向けに経済の基本を学ぶことができる『入門書』を3冊お勧めしています。
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結論
- 11月のFOMCで利上げペースの減速を示唆すれば『米金利の低下→株高』を予想する
- しかし中長期のトレンドを決めるのは『経済指標』である
- 特に注目すべきは『インフレ関連』と『雇用関連』の経済指標である
- 金融引き締めの最中で 年初来の高値を更新する可能性は低いだろう
この記事はこんな方におすすめ
- 11月相場の注目ポイントを知りたい人
- 株式、特に米国株を中心に投資をしている人
- 経済や投資のことを勉強したい人(おすすめ本の紹介)
本題
10月21日の前と後
株式市場の上昇トレンドが加速したのがー
加速した日
- 10月21日(金曜日)から
でした。
では、この日何があったのか?
それは、米国を代表する経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』がー
WSJの報道
- 利上げのペースが減速する
可能性について報道したことにあります。
具体的にはー
11月の連邦公開市場委員会(通称FOMC)では、次回の12月会合で利上げのペースを減速するかどうか?が政策議題になる
と、WSJは報じました。
米金利のトレンドが転換
なぜ、WSJの報道が重要なのか?その理由はー
理由
- アメリカ金利の反応
にあります。
アメリカの金利、特に長期金利(10年債利回り/ 以下では米長期金利)の動きは、米国の株式市場に大きなインパクトを与えます。
その米長期金利は10月21日を境に(WSJの報道を機に)、上昇から低下のトレンドへ転じています。
米長期金利のチャート
そして、冒頭で述べたとおり米国の株式市場は、米長期金利の低下にサポートされるように上昇トレンドへ転じています。
つまり、米長期金利と米国株との間にはー
- 米長期金利の上昇 → 米国株の下落
- 米長期金利の低下 → 米国株の上昇
という関係が成立しているということになります。
WSJを利用して情報をリークするFRB
アメリカの中央銀行にあたる『連邦準備制度理事会(通称FRB)』は、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)をよく”利用”します。
FRBがWSJを利用する目的は何でしょう?
それはー
利用の目的
- 情報のリーク
です。
FRBサイドは、WSJサイドに”今後行うであろう政策情報の一部”をあえて流します。
その目的はー
リークの目的
- 市場の反応を探る
ことにあります。
そうすることでー
など、将来起こり得る状況をFRBは事前に察知しようとするのです。
注目すべきは経済指標
10月21日のWSJの報道で、FRBを率いるパウエル議長はひとつの情報を得ました。
それはー
得た情報
- いかに金融市場が大幅な利上げを恐れているか
ということです。
この点は、上で述べた10月21日の前と後の米長期金利と米国株の動きを見れば、一目瞭然です。
ということは、11月だけでなく12月のFOMCでもパウエルFRBが『0.75ポイント利上げ=大幅な利上げ』の可能性を示唆すれば、米長期金利には再び上昇の圧力が強まることが予想されます。
そして米国株には、下落の圧力が高まるでしょう。
では、パウエルFRBはマーケットに配慮して、11月1日~2日に開催されるFOMCで利上げペースの減速シグナルを発信してくるのでしょうか?
WSJを利用して情報をリークしていることを考えるならば、その可能性があるとジェイは考えています。
実際にパウエルFRBが利上げペース減速のシグナルを発信してくる場合、米国のマーケットはー
米長期金利の低下 → 米国株の上昇
という展開が予想されます。
しかし最も重要なことは、冒頭で述べたように11月を通して上昇トレンドが続くかどうか?にあります。
この点を考える上で重要となるのがー
重要なこと
- アメリカの経済指標
です。
なぜなら、パウエルFRBが打ち出す政策のすべてが、経済指標をベースとしているからです。
しかし、経済指標と一言でいっても、色々とあります。
今、最も注視すべき経済指標はー
経済指標
- インフレ関連の経済指標
- 雇用関連の経済指標
です。
インフレ関連の指標
現在、世界の経済が直面する最大の問題はー
最大の問題
- インフレの進行
です。
アメリカのインフレ動向を考える時、市場参加者は2つの指標に注目します。
インフレ指標
- 消費者物価指数(通称CPI)
- 個人消費価格指数(通称PCEデフレーター)
消費者物価指数(CPI)の推移を見ると、総合の方ではピークアウトの兆しが見え始めています。
しかし、変動幅の大きい食品とエネルギーを除いたCPIコア(Core)を見ると、上昇の基調を維持しています。
アメリカのインフレ率:CPI
一方、10月28日(金曜日)に発表された個人消費価格指数(通称PCEデフレーター)は、前年比で6.2%と高止まりの傾向にあります。
またCPIと同じく、総合指数の方はピークアウトの兆しが見えますが、コア指数は上昇基調にあります。
アメリカのインフレ率:PCEデフレーター(PCE)
これらインフレ指標の推移を見る限り、 『思ったよりもインフレが低下しない』という状況が、今後のリスク要因となる可能性があります。
これらインフレ指標が高止まりの傾向を示す場合、パウエルFRBは利上げ政策を続けるか、いったん利上げを停止をしても、政策金利の水準を高く保つ可能性が高まるでしょう。
もちろんそんな状況は、米国の株式市場にとってネガティブな要因となるでしょう。
雇用関連の指標
一方、雇用関連の指標も重要です。
なぜか?それはー
重要な理由
- 賃金の上昇がインフレの低下を阻害する可能性がある
からです。
賃金の上昇ーいわゆる『賃金インフレ』は企業の人件費を増加させる要因です。
人件費がコストである以上、その増加分をサービスやモノの価格に転嫁しないと、企業は生き残れません。
ゆえに賃金インフレは、社会全体のインフレの低下を阻む要因となるのです。
では、アメリカの賃金動向を確認してみましょう。
アメリカの平均時給
2021年4月を境にして、急上昇した賃金の伸びですが、今年の3月をピークに一転して低下の傾向にあります。
しかし、前年比で5%前後と高止まりの状況が続ています。
11月のFOMCは、1日~2日に開催されます。
そして4日(金曜日)に、10月の米雇用統計が発表されます。この指標で、最新の賃金動向も判明します。
雇用統計が総じて予想以上の場合、特に平均時給が予想以上か高止まりする場合は、パウエルFRBがFOMCで利上げペースの減速を示唆してもー
展望
- 米長期金利の上昇 → 米国株の下落
という展開を警戒しておくべきでしょう。
年初来の高値を更新する可能性は低い
株式の投資家、特に米国株を中心に投資をしている人にとって理想的な展開はー
理想的な展開
- 利上げペースの減速
- インフレと賃金の低下
が確認されることです。
これらが重なれば、利上げのリスクは一気に後退するでしょう。
それゆえ、米長期金利の低下幅が拡大すると同時に、米国株は上昇トレンドを維持することが予想されます。
QTを忘れていないか?
しかしジェイは、米国株の上昇トレンドが続いてもー
ジェイの展望
- 年初来の高値を更新する可能性は低い
と考えています。
そう考える理由は、2つあります。
2つの理由
- 金融引き締めの最中にあること
- 景気後退のリスクがあること
パウエルFRBが利上げのペースを減速させても、金融引き締め政策を止めるわけではありません。
利上げに注目が集まりがちですが、もうひとつの金融引き締め政策であるー
もう一つの政策
- 量的引き締め政策(通称QT)
を実行中であることを忘れてはいけません。
QTとは?
量的引き締めを英語で表すと『Quantitative Tightening』となります。
この略語が『QT』です。
QTを簡単にいうと、『中央銀行が保有する資産を圧縮して市場に出回るマネーの量を減らしていく』政策のことです。
2020年3月から2021年10月までQTとは逆の政策ー量的緩和政策(通称QE)を実施していました。
QE(Quantitative Easing)は、QTとは逆のことをします。
なので、金融市場にはFRBからお金がジャブジャブに流れ込んできました。
これが、投資の資金として利用され、米国株やビットコインなどの暗号資産はバブル相場となりました。
しかし、その資金源は先月から月間で最大950億ドルというペースで減少し続けます。
つまり、投資の資金源がどんどんと細っていくということです。
景気後退のリスクを忘れていないか?
そして何よりも警戒すべきはー
警戒すべきこと
- 世界経済の後退リスク
です。
この点については、以下の記事をご参照ください。
-
【ブログ再始動】2022年も残り2か月余り 米株の見通しは?-前編
続きを見る
-
【ブログ再始動】2022年も残り2か月余り 米株の見通しは?-後編
続きを見る
11月に米国株が上昇しても、インフレと賃金の高止まりが続く場合、株高トレンドは続かないとジェイは考えています。
仮に上昇トレンドが続いても、上で述べた2つのリスク要因-『QT』と『景気後退』のリスクがくすぶる状況にある以上、米国株が年初来の高値を更新する可能性は低いと想定しています。
上昇トレンドを形成する時期は?
では、米国株はどの時期になれば、再び上昇トレンドを形成するのか?
次回の記事では、この点について考えてみたいと思います。
こうご期待!
今回のまとめ
まとめ
- 11月の米国株はFOMCと経済指標の内容次第でトレンドが決定されよう
- 米利上げペースの減速とインフレ&賃金の低下が確認される場合は、株高トレンドが続くと予想する
- しかし米国株が年初来の高値を更新する可能性は低いだろう
- 2つのリスク要因ー『QT』と『景気後退』のリスクが米国株の上昇を阻む可能性がある
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
注記事項
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