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2022年は、米連邦準備制度理事会(以下ではパウエルFRB)を始めとした各国中銀が、金融緩和政策から金融引き締め政策へ大転換する1年となります。
この動きは世界の株式市場、特に割高感が意識されている米国株(アメリカ株)にとっては、かなりのインパクトがあるでしょう。
事実、年初来から米国の主要な株価指数は軒並み下落しています。
米株価指数のパフォーマンスチャート
そこで当ブログでは『2022年の投資戦略シリーズ』と題して、我々のような個人投資家は今年、どのような戦略で臨むべきなのか?をテーマに記事をアップしてきました。
・シリーズ第1回 続きを見る
【2022年の投資戦略シリーズ 第1回】米国株はオミクロン後をにらんだ展開に
・シリーズ第2回 続きを見る
【2022年の投資戦略シリーズ 第2回】上昇する米金利 22年の米国株投資はどのような戦略で臨むべきか?
シリーズ3回目となる今回は、優良バリュー株を見つける効率的な方法ついてお話しします。
今回のテーマ
優良バリュー株を見つける効率的な方法
おすすめの投資本
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上下巻合わせてかなりのボリュームですが、読む価値あり。
正直に言いまして、上の本を読めばバリュー株投資については十分です。
他の本を読む必要はありません。それくらいの良書です。
かのウォーレン・バフェット をして『株式投資本の最高傑作』と言わしめた一冊です。
22年の相場を乗り切るための必読の一冊!ぜひご一読ください!
第3回目のサマリー
- 米金融引き締めペースの加速を市場は警戒している
- 今年の米金利は短期ゾーンを中心に上昇していくだろう
- 米金利の上昇はグロース株にとってネガティブ要因
- 2022年は優良なバリュー株投資が焦点に
- 優良バリュー株を見つける具体的な方法について
今回の記事の対象者
こんな方におすすめ
- 米国株の投資を始めたい人
- 米国株の下落を見て投資をためらっている人
- 2022年の投資戦略を決めかねている人
本題
さて、本題です。
今回の記事では、まず最初に以下2つのことを押さえてください。
ポイント
- 米金融引き締めペースの加速を株式市場は警戒している
- 22年は短期ゾーンを中心に米金利の上昇トレンドが続く
高まる米金融引き締めペースの加速懸念
1月25〜26日に開催された米連邦公開市場委員会(通称FOMC)で、パウエルFRBは3月15〜16日に予定されている次回FOMCでの利上げと、3月上旬での量的緩和の縮小(テーパリング)を終了させることを表明しました。
さらにパウエルFRB議長は記者会見で、利上げ後のバランスシートの縮小についても言及してきました。
縮小の開始期時期については現状、6月ころが有力視されています。
今回のFOMCを受け、短期金融市場では米利上げ回数についてー
今年の米利上げ回数
パウエルFRBは今年、5回の利上げを実施する可能性あり
ということを織り込む動きが見られます。
この記事を執筆している時点で、短期金融市場が予測している22年12月時点の予想ターゲットレートは、1.3%台です。
通常、中央銀行は25ベーシスポイント(0.25%)ずつ利上げをします。
パウエルFRBが3月のFOMCから25ベーシスポイントずつの利上げを5回行うと、1.25%レベルとなります。
上の予想ターゲットレートとほぼ重なります。
しかし、今の予想ターゲットレートは『現時点での予測』です。
高インフレの状況が続けば、22年の米利上げ回数はさらに増える可能性があります。
少なくとも、各市場はこの点を意識するでしょう。
米金利の上昇トレンドは続く
米金融引き締めペースの加速が意識され、米国の債券市場では短期ゾーンを中心に利回りが上昇しています。
特に、金融政策の方向性に敏感に反応する2年債利回りは節目の1.0%台へしっかりと乗せてきました。
そして先週は、1.2%台を付ける局面が見られました。
米2年債利回りのチャート
一方、景気の動向に敏感な10年債利回りも1.9%の水準へ上昇する場面がありました。
米10年債利回りのチャート
米金利の上昇はグロース株にとってネガティブ要因
米金利の動きは米国株にとって、最も注視すべきことです。
なぜなら、そのトレンドによって投資すべきセクターや銘柄が決まってくるからです。
シリーズ第2回目の記事でも指摘したとおり、米金利の上昇はグロース株にとって不利です。
なぜなら、米金利が上昇すれば、その分だけ投資家が求めるグロース株への成長期待も高まるからです。
しかし、米金利でかさ上げされた高成長の期待をクリアできるグロース株は、巨大テクノロジー企業くらいでしょう。
それらの企業とて、決算をミスすれば株価が下落することは、今のネットフリックス(NFLX)が教えてくれています。
ネットフリックスの株価チャート
おすすめの投資本
・グロース株投資ならこの一冊 おすすめ度
▶オニールの成長株発掘法 【第4版】
米国株投資の魅力は、何といっても『グロース株投資』です。
しかし22年の相場を見ればわかるとおり、グロース株の投資は難しいです。
特に投資初心者の方にとっては。
『オニールの成長株発掘法』は、そんなグロース株投資を一から学ぶための必読の一冊です。
この一冊さえ読めば、あとは実践あるのみ!です。
グロース株が売られているこんな時こそ、読んでおくことをおすすめします!
22年は優良なバリュー株投資が焦点に
22年は、グロース株にとって厳しい1年になることが予想されます。
そうなると、必然的に今年はバリュー株への投資が焦点となります。
バリュー株とは?
そもそも『バリュー株』とは何でしょうか?
まずは、バリュー株の定義から確認しましょう。
バリュー株とは
- 本来企業が持っている価値よりも株価が低い状態にある株式のこと
- 企業価値よりも株価が低いため『割安株』と呼ばれている
簡単に言えば、これがバリュー株です。
では、バリュー(割安)と判断するための具体的な方法とは?
次は、この点についてお話しします。
マルチプル指標をチェックしよう
投資したい銘柄がバリュー株かどうか?を判断する時に、多くの投資家が用いる方法がー
方法
マルチプル指標での比較
です。
マルチプル指標とは、簡単に言えば『企業の稼ぐ力』に対して『株価がどのくらい高いのか?もしくは低いのか?』を示す『倍率』のことです。
米金利の上昇局面でよく用いられるマルチプル指標は、以下の2つです。
マルチプル指標
- 株価収益率(Price Earnings Ratio)
- 株価キャッシュフロー倍率(Price Cash Flow Ratio)
・株価収益率(Price Earnings Ratio)
この指標は、株価が1株当たりの当期純利益(EPS)の何倍になっているかを示します。
『株価 ÷ 一株(当たりの)利益(EPS)』で計算され、通称『PER』と呼ばれています。
・PERの計算式
PERは、株価の割安 / 割高を考える時、多くの投資家が必ず見る指標です。
PERの値(倍率)が ”想定的に” 低い株式は割安、高い株式は割高と判断します。
『想定的に』、というところがポイントになります。
しかし、PERの倍率が低ければ良いといわけではありません。
PERで銘柄をピックアップする時は、まず最初に以下4つのポイントを押さえておいてください。
4つのポイント
- 同業他社のPERと比較すること
- 投資する時点で20倍以下※であること
- 将来予想される『Forward-PER』が20倍以下※であること
- PERが10倍以下の銘柄への投資は避けること
※一般的にPERが20倍以下の銘柄は『バリュー(割安)』のカテゴリーに入る。また、直近のS&P500指数のPER20倍前後で推移。株価の上昇(一株利益の減少)でPERが20倍以上の銘柄は『バリュー(割安)』とは言えなくなる
・株価キャッシュフロー倍率(Price Cash Flow Ratio)
次は『株価キャッシュフロー倍率』です。
この指標は、株価を一株当たりのキャッシュフローで割って計算します。
『株価 ÷ 一株(当たりの)キャッシュフロー』で計算されます。通称『PCFR』と呼ばれています。
PCFRの値(倍率)が ”想定的に” 低い株式は割安、高い株式は割高と判断します。
キャッシュフローは、当期の純利益に減価償却費を足し戻すことで計算されるため、減価償却方法の異なる企業の国際比較をする時に多く用いられます。
昨今の米企業は、グローバル化が進んでいます。
よって、PCFRの重要性は近年ますます高まっています。
PCFRの見方のコツは2つあります。
PCFRのコツ
- PERと合わせて用いること
- 過去、セクター別、市場全体のPCFRと比較すること
22年は利益重視のマルチプル指標が重要に
他にも、株価純資産倍率(Price Book-Value Ratio / 通称PBR)や株価売上倍率(Price Sales Ratio/ 通称PSR)などの有名なマルチプル指標があります。
もちろん、こういった指標をチェックすることも重要です。
PERやPCFRだけでは測れない要因があることも多々あります。
しかし、22年の米国株は『決算勝負の1年』となります。
上で述べてきたとおり、今年はパウエルFRBが金融引き締めペースを加速させ、それにともなって米金利が上昇しているからです。
ということは、米国の株式市場に参戦している投資家が今後最も重視するのがー
投資家が重視すること
『企業の稼ぐ力』と『株価の水準』との関係
です。
『企業の稼ぐ力』を客観的に判断する項目はー
判断する項目
- 当期の純利益
- キャッシュフロー
です。
よって、22年のバリュー株投資で常にチェックすべき指標はPERとPCFRと、ジェイは考えています。
まずは上2つの指標をチェックした上で、その他の指標もチェックすることで、限られた時間を株式の分析にあてることができるでしょう。
PERとPCFRで優良なバリュー株を効率的に見つける方法
では、PERとPCFRの情報を効率的に集め、使い、そして投資に活かす具体的な方法とは何か?
次はこの点についてお話しします。
結論から言いますとー
効率的な方法
finvizを使おう
ということになります。
finvizとは、米国株に投資をする人なら必ず見るべきサイトの一つです。
そしてfinvizには、効率的に株価の分析をするためのアプリケーションが豊富にあります。
その内のひとつがー
アプリケーション
スクリーニング機能
です。
finvizでスクリーニング
ここからは、finvizで優良なバリュー株をスクリーニングするための具体的な方法について解説します。
結論からいいますとー
アプリケーション
たった5つのステップを踏むだけ
で、簡単にバリュー株のスクリーニングができます。
・スクリーニング 5つのステップ
1:まずfinvizのサイトへ
3:Screener画面の真ん中上にある『Fundamentals』をクリック
4:Fundamentals画面の左上に密集している『P/E』『Forward P/E』『Price/Free Cash Flow』の水準を決める
5:最後に『Chart』でスクリーニングした株価のトレンドを確認
たったこれだけのステップで、バリュー株をスクリーニングすることができます。
ステップ5を忘れずに!
上のステップで重要なことはー
重要なこと
ステップ5のチャートでトレンドを確認する
ことです。
投資初心者は底値で株を買う傾向があります。
しかしプロは違います。
プロが狙う銘柄
- 上昇トレンドにある銘柄
- 新たな高値を取りに行く銘柄
- 調整の反落局面にある銘柄
プロの投資家は上のような銘柄をピックアップし、果敢に投資をするのです。
なので、PERやPCFRの値でスクリーニングした後は、必ずステップ5の『チャートで株価のトレンドを確認』することも行ってください。
結果が多すぎる場合は...
上のスクリーニングの結果が多すぎる場合は、市場や対象となる株価指数(ダウ平均やS&P500など)を設定して、さらに絞り込むことができます。
・さらに絞り込む方法
1:Screener画面の『Descpritive』をクリック
2:『Exchange』『Index』『Sector』『Industry』『Country』などのカテゴリーを設定
追加で上2つのステップを踏むだけで、あなたが投資をしたいと思うバリュー株を効率的にピックアップすることができます。
ピックアップの軸はやはり『決算』
今回の記事で紹介したマルチプル指標とfinvizのスクリーニング機能は、22年の相場を乗り切るための『必須ツール』です。
しかし、銘柄ピックアップの軸として据えるべきはやはりー
ピックアップの軸
四半期決算をクリアし続けることができるかどうか?
ここです。
いくら株価がバリュー(割安)でも、企業の稼ぐ力が焦点となる今年の四半期決算でミスをする銘柄は、グロース株 / バリュー株を問わず、投資を控えるのがベターな戦略とジェイは考えています。
ちょうど今は決算シーズンです。
よってー
step
1四半期決算をクリアした複数の銘柄のみに注目
step
2finvizでそれら銘柄をスクリーニング
という手順で、効率的にバリュー株をピックすることをおすすめします。
今回のまとめ
まとめ
・パウエルFRBは今年、金融引き締めペースを加速してくるだろう
・米金融引き締め政策により今年の米金利は上昇するだろう
・米金利の上昇はグロース株にとってネガティブ要因である
・よって、今年はバリュー株の投資が焦点となろう
・優良なバリュー株のピックアップは『決算』が軸となる
・『finviz』のスクリーニング機能で優良なバリュー株を絞ろう
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
注記事項
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