『うーん、ナスダック指数ちょっとムード変わってきた?』
こんなことを感じている読者の方は多いと思います。
ジェイもそう感じるひとりです。
その理由は、現在多くの投資家が見ているテクニカル指標『25日移動平均線』でナスダック指数の上値が重くなっているからです。
そしてジェイは、もうひとつのテクニカル的な動きと米国の政治の状況も見て、ナスダック指数のムードが変わってきていると考えています。
そのテクニカル的な動きとは?そして米国の政治状況って?
今日は、これらの点について考えてみましょう。
結論
テクニカル面ではナスダック指数は10,800を下抜ける可能性あり
追加の景気対策の動向がナスダック指数のトレンドを左右する
この記事の対象となる人
ナスダック指数の展望を知りたい人
トレンドが変わりつつあるナスダック指数
注目は『25日移動平均線』
前回の記事でもナスダック指数を取り上げました(ナスダック指数には総合指数と100指数がありますが、このブログではナスダック指数総合指数でお話します)。
その時ジェイが指摘したのが、ナスダック指数の反発を止めている『25日移動平均線』というテクニカル指標を突破するまでは、ナスダック指数が反発してもハイテク株の買いは見送る、ということでした。
この記事を書いている時点で、その時の予測は正しいことになります。
論より証拠。ナスダック指数のチャートを確認してみましょXう。
ひと目見て、25日移動平均線がナスダック指数の上値を抑制していることがわかります。
やはり、みんなが見ているテクニカル指標の水準では、上値が重くなりやすいですね(もちろんこれは下値でもいえることです)。
なので、ナスダック指数が再び反発してもハイテク株の買いを仕掛けるならば『25日移動平均線を突破してからの方が良い』とジェイは考えるわけです。
もちろん、今の水準から決め打ちして買うのもひとつの手ではあります。
しかし、損失のリスクを少しでも減らしたいと思う人は、ナスダック指数が25日移動平均線を突破し『再び上昇トレンドに乗った!』と確認した後に、買いを仕掛ける方が良いとジェイは考えます。
ジェイが見ているもうひとつのテクニカル
『なんでジェイさんはこんなにも25日移動平均線にこだわるの?』
こう思う読者の方がいるでしょう。
それには、もうひとつ理由があるからです。
それは、同じ移動平均線の『10日移動平均線』の動きです。
まずはチャートを見てみましょう。
上のチャートに、今度は10日移動平均線をプロットしてみました。
注目して欲しいのは、10日移動平均線(11,007)が25日移動平均線(11,288)を下回っていることです。
これをテクニカル用語では『デッドクロス』といいます。
デッドクロスとは、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を上から下にブレイクする状況のことをいいます。
デッドクロスは、相場が上昇トレンドから下落トレンドへ転換したシグナルと捉えます。
・今のナスダック指数でいうと?
10日移動平均線は25日移動平均線よりも期間の短い移動平均線です。その10日移動平均線が25日移動平均線を上から下にブレイクしています。『デッドクロス』となり、将来ナスダック指数が下落トレンドへ転換する可能性を示すひとつのシグナルとなります。
上でも述べていますが、デッドクロスは相場が上昇トレンドから下落トレンドへ転換するシグナルとしてとらえます。
あくまでもシグナルですので、可能性のひとつに過ぎませんが。
しかし、今回のデッドクロスは重要なシグナルとしてジェイは捉えています。
なぜか?
それは今の上昇トレンドが始まってから、一度もデッドクロスが見られなかったからです。
この点をチャートで確認してみましょう。
今年2月からの動きをみると、3月に起こったコロナショックのあとに上昇トレンドが始まっていることがわかります。
注目は10日移動平均線の動きです。
一度も25日移動平均線を下抜けてデッドクロスとならずに、上昇し続けていることがわかります。
その10日移動平均線が、とつぜん下落へ転じ始めたのが9月に入ってからです。その勢いは今も続き、デッドクロスが現れた、ということです。
ちょっと説明が長くなりましたね。
ここでナスダック指数の状況を簡単にまとめますね。
・10日移動平均線が上昇トレンドから下落トレンドへ転換している
・10日移動平均線が25日移動平均線を下回る『デッドクロス』となっている
・『デッドクロス』は相場が下落トレンドへ転換したシグナルである
ということになります。
相場が下落トレンドへ転換する可能性が出てきた以上、今の局面でハイテク株の買いを仕掛けるには、やはりリスクが大きいことがおわかりいただけたと思います。
米ハイテク株を買うタイミングは?
ナスダック指数は10,800をブレイク
以前の記事では、『10,800』の水準が重要なサポートポイントだと指摘しました。
まずは、この10,800のポイントを維持するのか?それとも下にブレイクするのか?が重要となります。
そして上の記事でジェイは『10,800を下にブレイクする』と指摘しています。
実際に今月18日の終値を確認すると...
若干ですが、10,800ポイントの水準を下抜けていることがわかります。
この状況をどのようにとらえるかは、チャートを見た人の感覚によります。
この程度のブレイクなら『10,800の水準を維持した』と考える人もいるでしょう。
そう考える人は、ハイテク株の買いを仕掛けた方が良いです。仕掛けないと後悔するからです。
仕掛けて失敗する悔しさよりも、仕掛けないで感じる後悔の方が心に残るからです。
逆に『10,800をブレイクした』『もう少し下落するだろう』と思う人は、今のタイミングでハイテク株の買いを仕掛ける必要はありません。
こう考える人は、自分で納得のいく下値の水準で買いを仕掛ければ良いからです。
ジェイは後者の立場です。
なので、ナスダック指数が反転するきっかけをすでに探しています。
ナスダック指数 もうひとつの下落要因とは?
ここまでは、テクニカル分析を中心にナスダック指数が下落する可能性について考えてきました。
ジェイはテクニカルのほかに、ナスダック指数が下落する要因がもうひとつあると考えています。
それが『政策に対する期待』です。
政策に対する期待とは、今年の3月下旬以降、米国が次々と打ち出している大規模な財政政策と金融緩和政策が『将来米国の景気を回復させる!』という期待です。
今の米株高トレンドは、この期待によってサポートされている『政策相場』なんです。
『政策相場』とは、景気を回復させる大規模な財政出動や金融緩和の政策が『将来景気を回復させるだろう!』と投資家が抱く期待だけで上昇しつづける相場のことをいいます。
そして今、その期待を後退させる事態が発生しています。それは...
『米議会の上院が今月の10日に、共和党が提案した5000億ドル(約53兆円)規模の経済対策案を事実上否決した』
ことです。
今回、アメリカの議会に提出された景気対策の規模は5,000億ドル(約53兆円)と、3月下旬の3兆ドル(300兆円)と比べれば小粒です。
しかし、アメリカは財政赤字の国です。これ以上の財政赤字の拡大はアメリカという国の信用にかかわる重要な問題となります。この点がネックとなって、追加の景気対策が議会を通らないのです。
しかし、現在の失業給付の財源は、10月にも枯渇する可能性があります。
また、9月末には航空会社向けの雇用維持策も失効します。これを見こして米国の各航空会社は、数万人単位の人員カットを計画しています。
追加の景気対策がこのまま議会を通過しない場合、政策が将来の米国の景気を回復させる!という期待を後退させる可能性があります。
米ハイテク株の買いを仕掛けるタイミング
なのでジェイは、この追加の景気対策が米国の議会を通過する、もしくはその可能性が高まっているという報道が重要と考えています。
こういった報道があれば、ナスダック指数が反転すると予想するからです。
そして、その時こそハイテク株の買いを仕掛けるタイミングだと考えています。
今回のまとめ
現在のナスダック指数について
・10日移動平均線が25日移動平均線を下回る『デッドクロス』となっている
・『デッドクロス』はナスダック指数の下落シグナルとなり得る
米国の政治状況について
・米株高を支えている政策への期待が後退する可能性あり
・米ハイテク株買いを仕掛けるタイミングは追加の景気対策の動向次第
今回は以上です。また次回!