前々回と前回の記事ではー
なぜナスダック指数は上昇し続けているのか?
について考えてみました。
まだ読んでないという人は、以下のリンク先でご覧ください。
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関連記事【米株】ナスダックス指数が上昇し続ける理由と今後の焦点とは?①
続きを見る
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関連記事【米株】ナスダックス指数が上昇し続ける理由と今後の焦点とは?②
続きを見る
ナスダック指数が上昇し続けている理由を簡単にいうならばー
理由
- コロナリスクが意識されているから
- 米国の実質金利が低下しているから
と指摘しました。
今後は、ワクチンの供給と大規模な経済対策によって『コロナリスク』は意識されなくなるでしょう。
ということは、これからのナスダック指数のトレンドを考える上で重要となってくるのは、『米国の実質金利』です。
Aさんの疑問は、今年のナスダック指数や米国株(アメリカ株)のトレンドを考える上でとても重要です。
なので、今回は『米国の実質金利を動かす要因』についてお話します。
過去2回の記事では語り切れなかった内容です。
ぜひ最後までお付き合いください!
今回の記事では、プログラミング言語の『Python』を使ってチャートを作成しています。
米国株(アメリカ株)に限らず、今やマーケットの分析で『Python』はなくてはならない存在です。
Pythonを学びたい!
という人は、以下のリンク先をご覧ください。
ジェイの実体験をもとに『これならPythonを効率的に学ぶことができる』という学習法をまとめたサイトです。
プログラミングを学ぼう
この記事を読んでわかること
わかること
- 2021年の米金利を左右する要因
- 米金利が上昇するときに気を付けるべきこと
- 米金利の上昇で注目したい銘柄
この記事の対象となる人
こんな人におすすめ
- 米国株の投資に興味がある人
- 米ハイテク株に興味がある人
- 米国株に投資をしている人
結論からいいます
- FEDが政策の転換シグナルを送ってくる時、米金利が上昇する
- ハイテク株なら何でも買いの時代は終わる
- 金利が上昇する局面での米株投資の戦略について
FEDが政策の転換シグナルを送ってくる時
本題に入る前にちょっと復習ということで、実質金利の計算方法を確認しておきましょう。
実質金利とは
実質金利の式:
- 名目金利
→ 私たちが普段の生活で目にする金利のこと - 期待インフレ率
→ 市場が抱く将来のインフレ予想
『期待インフレ率』は、国によって使う指標が異なります。
例えば、米国では『ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)』という指標を用います。
一方、日本では価格の変動幅が大きい生鮮食料品を除いた『コア消費者物価指数』を使うことがおおいです。
アナリストの中には、酒類を除いた食料と石油・石炭・天然ガスといったエネルギーを除いた『コアコア消費者物価指数』を用いる人もいます。
日本にもBEIを取引する市場はあります
しかし、参加者のほとんどが外国勢です。
なので、日本のBEIは国内のインフレ動向を正確に反映していない、と考えられています。
ちょっと話がそれましたね。
では次に、米国の名目金利と期待インフレ率をビジュアルチャートで確認してみましょう。
チャートから読み取れること
チャート
ジェイは実務で『5年』と『10年』の実質金利をチェックしています。
ジェイの周りでもこの2つの期間を重視する人が多いです。
なので、このブログでも5年と10年のデータを使います。
期待インフレ率について
ひと目見て、期待インフレ率の伸びがスゴイことがわかります。
昨年の後半には『2%』の水準を突破しています。
期待インフレ率が急上昇し始めたのが、昨年の4月以降です。
では、その直前に何があったのか?
何があったのか?
- トランプ前政権による『2兆ドルの財政政策』の実施
- アメリカの中央銀行FEDによる『無制限の金融緩和政策』の実施
上の大規模な政策が、2020年3月の下旬に同時に実施されたのです。
そして、これら大規模な政策によって将来の米国経済は回復する!という期待が金融市場で先行し、期待インフレ率が急上昇したというわけです。
しかし2021年は、期待インフレ率が急上昇する可能性は低いでしょう。
なぜなら、コロナショックが発生する前の水準を超えてしまっているからです。
期待インフレ率は文字通り『期待』です。
マーケットの世界での『期待』とは、『先取り』という意味です。
なので、今の期待インフレ率の水準は ”景気が回復した将来の状況をすでに織り込んでしまっている" ということになります。
名目金利について
一方、名目金利の方は、米国の経済が回復トレンドにあるにもかかわらず、上昇は限定的です。
なぜか?
その理由はー
ここ重要です!
FEDが『超』が付くほどの金融緩和政策を続けているから
です。
FEDが未だに金融緩和政策を続けている理由は、米国の経済が完全に回復していないからです。
しかし、米国の経済は必ず回復します。
そしてFEDを率いるパウエル議長もこの点を意識した発言をしています。
『今年後半の見通しを明るくするいくつかの進展もみられる』ー
上の発言は、今年最初のFOMC(1月26~27日)後の記者会見でパウエル議長自身が語ったことです。
パウエル議長がこのような発言をしたということは、 米国の経済が今年の後半に堅調さを取り戻すことを各種データから読み取っているということです。
パウエル議長の観測が当たるならば、今年後半に名目金利は上昇し始めるとジェイは予想しています。
なぜか?
金利が上昇する理由
マーケットは先を見て動くから
です。
では、マーケットは『どんな先』を見ているのか?
それはー
マーケットが見ている先
"2022年" にFEDが今の政策スタンスを転換すること
です。
ここで重要なのことはー
重要なこと
FEDが今年中に今の政策スタンスを転換しなくても、マーケットがそれを意識すれば金利はマーケットの思惑の方を反映して動く
ということです。
そして米金利(名目金利)の方に上昇の余地があるならば、実質金利は名目金利の上昇に影響されて、緩やかに上昇していくとジェイは予想しています。
実質金利のチャート
政策転換のシグナルを発信するタイミングは?
FEDがいつ政策の転換シグナルを送ってくるのか?
この点については、コロナリスクの状況と経済の回復の度合いによります。
ワクチンの普及と経済対策の効果によってコロナリスクが完全に後退し、かつ経済も順調に回復するケースではー
政策転換のシグナルを送ってくるタイミング
今年9月のFOMC
だとジェイは予想しています。
なぜ今年の9月なのか?
Aさんの疑問はもっともです。
しかし、パウエル議長は実際に行動を起こす前に、長い時間をかけて政策の転換に向けた『地ならし』をするとジェイは考えています。
なぜか?
2つの理由があります。
理由その1-
地ならしが必要な理由①
2013年と同じ過ちをしたくないから
理由その2-
地ならしが必要な理由②
過去のFEDは9月のFOMCで政策転換のシグナルを送ってくることが多い
ジェイが重要と考えているのは最初の理由『2013年と同じ過ちをしたくないから』です。
では、2013年の過ちとはなんでしょうか?
それはー
2013年の過ち
バーナンキショック
です。
バーナンキショック
2013年5月〜6月に起きた世界的な金融市場の混乱のこと
当時、FEDを率いていたのはベン・バーナンキ氏でした。
そのバーナンキ氏は、リーマンショックから米国の経済を回復させるため、今と同じく量的緩和政策を実行していたのです。
しかし、2013年5月にその政策を縮小していくと発言しました。
この発言をきっかけに、金融市場は大混乱に陥ったのです。
その当時、理事の職にあったのが今のパウエル議長です。
彼はあのマーケットのヒステリックな反応を目の当たりにした人物なのです。
こういった過去の経緯を考えると、パウエル議長はまず政策を転換するシグナルをかなり前から発信してくるでしょう。
市場の反応を探るためです。
そして、市場を説得するように色々なデータを提示して『アメリカの経済はもう大丈夫』というメッセージを時間をかけてマーケットにすり込んでいくでしょう。
2013年と同じ過ちを繰り返さないために。
今年の米株投資の戦略は?
今年の前半まではハイテク株買いを継続
米金利が上昇するなら今年後半の可能性ある。
よって、米国の実質金利が上昇し始めるのも今年の後半になる、とジェイは予想しています。
なので、今年前半のナスダック指数は上昇トレンドを維持すると予想しています。
よって、ジェイは引き続きこのブログで取り上げてきたハイテク株の買いを考えています。
実際、今はクラウドストライク(CRWD)とユニティ・ソフトウェア(U)を保有しています。
今年の後半は銀行株や消費関連株へシフト
問題は、今年の後半です。
『米金利の上昇→米国の実質金利の上昇』となれば、今までのような『ハイテク株なら何でも買い』の時代は終わるでしょう。
そして『ハイテク株 選別の時代』へとシフトするでしょう。
すでにブランド力が高まり、市場のシェアを確保しているGAFAMは今後も上昇する可能性があります。
しかし、新興のハイテク株の多くは、株価の水準に収益(実力)が見合っていなければ『割高』と判断されるでしょう。
このブログで紹介したハイテク銘柄の中では、赤字が続く『アバララ(AVLR)』の株価が下落するリスクがあるとジェイは考えています。
ならば、どんな銘柄に投資をすれば良いのか?
それはー
注目の銘柄
金利上昇の恩恵を受ける銘柄
です。
例えばー
注目の株
- 銀行株
- 消費関連株
です。
経済の回復を土台に米金利が上昇する場合、銀行株ではー
注目の銀行株
- ゴールドマン・サックス(GS)
- バンクオブアメリカ(BOA)
- JPモルガン・チェース(JPM)
といった大手銀行の株価が緩やかに上昇すると予想します。
一方、消費関連ではー
注目の消費関連株
- アマゾン(AMZN)
- エッツィ(ETSY)
- コカコーラ(KO)
- ラスベガスサンズ(LVS)
- マリオットホテル(MAR)
- マクドナルド(MCD)
- ナイキ(NKE)
- ペプシ(PEP)
- スターバックス(SBUX)
といった銘柄に注目しています。
世界中のデザイナーのアパレル衣料品をオンライン上で購入できるファーフェッチ(FTCH)も面白い銘柄でしょう。
また、人の移動が活発になることを考えるならば、ボーイング(BA)やアメリカン航空(AAL)といった航空株の動きにも注目です。
まとめ
まとめ
- 今年後半に米金利は上昇トレンドへ
- 金利上昇のきっかけはFEDの政策転換シグナル
- 米金利が低下する間はハイテク株の投資を続ける
- 米金利が上昇する場合、その恩恵を受ける銘柄へシフトする
注記事項
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