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さて、今回で『インフレ時代の米株投資』は最終回となります。
最終回のテーマは以下となります。
バリュー株投資と有望なグロース株の発掘するポイント
記事を読んでわかること
わかること
- アメリカ経済の展望
- 米金利と株式投資の関係
- 注目の米バリュー株銘柄
- バリュー株投資のリスク
- 有望なグロース株の発掘方法
この記事の対象となる人
こんな人におすすめ
- 米株の投資を考えている人
- 銘柄の選択で迷っている人
- 投資の経験がない / 浅い人
結論からいいます
結論
- ベースシナリオはアメリカ経済の回復と個人消費の拡大
- 今年の夏以降、米金利はもう一段上昇する可能性あり
- 米金利の上昇はバリュー株の上昇要因となろう
- リスクシナリオはコロナリスクの再燃と景気の減速
- 上のリスクが現実となればバリュー株の上昇はすぐに終わる
- 業績の良いグロース株の発掘を常に意識する必要あり
米長期金利のチャート
2021年に入ってから、株式市場も為替市場もアメリカの長期金利(以下では米金利と表記)をにらんだ展開となっています。
その米金利は1.7%台まで上昇した後、再び低下のトレンドへ転じています。
アメリカ長期金利(10年債利回り)チャート
しかし、今月に入り発表された雇用関連の指標や個人消費関連の指標はどれも市場予想を上回っています。
特に注目すべきは、4月15日(木)に発表された3月の小売売上高の結果です。
- 予想:5.9%
- 結果:9.8%
上の結果もさることながら、今回は13の分野すべてで個人消費が拡大しました。
これは、明らかに1,400ドルの給付金とワクチンの接種が進んでいる効果といえます。
後者のワクチン接種については、『7月4日のコロナ独立』に向かって、バイデン米政権がどんどん力を入れていくでしょう。
今の時点で個人消費の回復が確認されている状況を考えるならば、今年の夏以降、米国内で "消費の爆発" が起こる可能性は十分にあります。
個人消費はアメリカ経済の ”エンジン” です。
そのエンジンが全開となれば、低下トレンドへ転じている米金利には再び上昇の圧力が強まることが予想されます。
米金利の動向に振り回される株式市場
米金利が低下する局面では、ハイテク企業や新興企業に代表される『グロース株』が上昇しやすいです。
事実、ハイテク株のトレンドを見る上で重要なナスダック100指数は、ついに14,000ポイント台へ乗せてきました。
ナスダック100のチャート
しかし、米金利が再び上昇する局面では、グロース株の割高感が意識されるでしょう。
対象的に、グロース株と比較して割安感のある『バリュー株』へ再び資金がシフトするでしょう。
つまり、これからのアメリカ株(米国株)を投資する際はー
今後の展望
- 米金利の低下=グロース株の買い
- 米金利の上昇=バリュー株の買い
という状況を意識すべきとジェイは考えています。
しかし、ここでひとつ注意すべきことがあります。
それは、米金利の上昇局面でも ”四半期ごとの決算をクリアし続けているグロース株” の買いを考えておく、ということです。
好業績を発表しても、米金利の上昇を受けて下落しているならば、そのグロース株は『調整の反落』と考えるべきです。
調整の反落である以上、中長期なスパンで考えれば、そのグロース株は上昇する可能性が高い銘柄といえます。
よって、米金利の上昇局面ではご自身の投資スタンスに応じて、バリュー株とグロース株にバランスよく投資するのが良いでしょう。
グロース株 注目の銘柄
グロース株で注目すべき銘柄は、このブログで何度も取り上げている『クラウドストライク(CRWD)』です。
直近のチャートを見ると、将来性と好決算という両輪が上手くかみ合い、170ドルでダブルボトムを形成。その後、短期レジスタンスラインと25日移動平均線(MA)の突破に成功しています。
さらに、205ドルの水準が再びサポートへと転換し、4月以降上昇のトレンドにあります。
クラウドストライク(CRWD)のチャート
こういった銘柄は、常にポートフォリオに組み込む意識を持っておくと良いでしょう。
ジェイが投資をしているバリュー株とは
一方、おすすめのバリュー株として、前回のブログでは『デボンエナジー(DVN)』を取り上げました。
実際にジェイが投資をしている銘柄ですが、もちろんデボンエナジー(DVN)以外のバリュー株にも投資をしています。
それが以下の2銘柄です。
バリュー株銘柄
- ウェルズ・ファーゴ(WFC)
- バンクオブアメリカ(BAC)
上の銀行株に投資をしている理由は、3つあります。
投資の理由
- 次のストレステストをクリアすると増配や自社株買いができるようになる
- 金利の上昇で利ザヤ収益が拡大する
- 株価の水準が他の米銀と比べて安い
上の銘柄の中でもジェイが注目しているのが、ウェルズ・ファーゴ(WFC)です。
ウェルズ・ファーゴ(WFC)はリテール業務に注力する堅実な経営をしており、かつEPSの予想成長率(2020年Q1対2022年Q1)は236%と高水準です(ブログ執筆時点)。ちなみに、バンクオブアメリカ(BAC)は104%です。
4月14日に発表された決算も市場予想を上回る内容となりました。
WFCの決算内容
- Earnings:$1.05(結果) vs 70 cents(市場予想)
- Revenue:$18.06 billion(結果)vs $17.5 billion(市場予想)
なお、バンクオブアメリカ(BAC)も15日に決算を発表。市場予想を上回る内容でした。
BACの決算内容
- Earnings:$86 cents(結果) vs 66 cents(市場予想)
- Revenue:$22.9 billion(結果)vs $22.1 billion(市場予想)
なお、バンクオブアメリカ(BAC)はウェルズ・ファーゴ(WFC)と比べて、トレーディングの収益が大きな柱となっています。
今回の決算では、全体のトレーディング収益が前年同期比 で17%増の 50.8 億ドル (市場予想は43.7 億ドル) と好調でした。
米金利との相関関係
また、上2つの銘柄で興味深いのは、米金利との相関関係です。
米金利との相関関係
バンクオブアメリカ(BAC)の方が米金利との相関が高い傾向にあります。
言いかえれば、バンクオブアメリカ(BAC)の方がウェルズ・ファーゴ(WFC)よりも米金利の上昇/低下の影響を受けやすい、ということです。
ということは、金利が低下する現在の局面では、バンクオブアメリカ(BAC)の株はウェルズ・ファーゴ(WFC)のそれと比べて、上昇しにくい状況にあると考えられます。
事実、4月15日の相場をみると、好決算にもかかわらずバンクオブアメリカ(BAC)は前日比2.86%安となりました。
一方、ウェルズ・ファーゴ(WFC)は0.59%高で引けました。
バリュー株のリスク
繰り返しになりますが、今年のアメリカ株はバリュー株と業績の良いグロース株に分けて投資をするのが賢明だと考えています。
そう考える理由は、以下に挙げる3つのリスクが水面下でくすぶっているからです
バリュー株のリスク
- ワクチンの接種が遅延するリスク
- 変異型ウイルスが拡大するリスク
- 景気の減速リスク
最大のリスク要因は上の2つです。
ワクチンに何らかの問題(今は血栓の問題が発生)が発生し、接種が思うように進まない場合、『アメリカの景気は今後も回復する!』という期待が先行している分、アメリカ株には調整の反落圧力が高まるでしょう。
特に、景気に敏感な株が多いバリュー株には強い下落圧力が高まることが予想されます。
今年の高い経済成長は一時的
また、来年以降の経済成長に目を向ける必要もあります。
アメリカの中央銀行にあたるFEDは、今年の経済成長率を6.5%に上方修正しました。
昨年12月時点の予測が4.2%だったので、大幅な上方修正となります。
しかし、来年以降の経済成長率は3.3%(22年)、2.2%(23年)と減速する見通しを示してきました。
また、国際通貨基金(IMF)も今月6日に最新の ”世界経済見通し(通称WEO)” を発表しました。
この中でアメリカの経済成長率については、前回より1.3ポイント高い6.4%と予測してきました。しかし、来年は3.5%へ減速すると予測しています。
FEDとIMFの経済予測
IMFがFEDと同じ予測を示してきたということはー
今年の高い経済成長は一過性の現象となる可能性が高い
ということです。
ジェイは、FEDもIMFも妥当な予測をしてきたと考えています。
なぜなら、昨年にコロナショックが発生して以降、アメリカを含めた主要国は『これでもか!』というくらいの財政出動と金融緩和政策を打ち出してきました。正直これ以上手の打ちようがない程の規模で。
やろうと思えば追加の政策をすることはできると思います。
しかし、それをすると今度は株バブルや財政リスクといったコロナショックとは別のリスクが高まるでしょう。最近でいえば『アルケゴスショック』がそうです。
つまり、各国は政策面で手詰まりの状況にあるというわけです。
この状況でコロナショックが再燃すれば、アメリカの景気はFEDやIMFが予測する以上に減速する可能性があります。
その懸念が高まれば、バリュー株の上昇は短期間で終わるでしょう。
業績の良いグロース株に注目
もし、上のリスクシナリオが現実となる場合、私たちのような個人投資家はどうすれば良いのか?
ここでポイントとなるが、繰り返し述べてきたようにー
業績の良いグロース株の発掘
この点を常に意識しておくことです。
なぜか?それは以下のことが意識されるからです。
理由
- 米金利の上昇が抑制
- 追加の政策期待の高まり
コロナリスクの再燃で景気の減速が意識されれば、米金利の上昇は抑制されるでしょう。
そして景気の減速を食い止めるために、リスクを承知で各国の政府や中央銀行は追加の景気対策を導入するでしょう。
これら2つは、グロース株にとってポジティブな要因です。
上で述べた『クラウドストライク(CRWD)』をはじめ、アメリカの株式市場には急上昇が期待できるグロース株が多くあります。
見通しも含めてEPSと売上高がちゃんと市場予想を上回るかどうか?優良なグロース株を発掘するコツは ”決算” にあります。
今はちょうど決算の時期です。
有望なグロース株を発掘するための目を養うという観点で、日々米企業の決算ニュースに注目してください。
まとめ:今後のシナリオ
ベースシナリオ
景気対策とコロナワクチンの普及が進むことで、アメリカの経済は順調に回復していく。
特に今年の夏以降、個人消費が爆発的に拡大する可能性あり。
そして今年の後半に、米金利には再び上昇の圧力が高まることが予想される。
景気の回復を土台とした金利の上昇は、バリュー株の上昇要因である。
ジェイは、景気の回復と金利上昇の恩恵を受ける銀行株に投資をしている。
ジェイの投資銘柄
- ウェルズ・ファーゴ(WFC)
- バンクオブアメリカ(BAC)
リスクシナリオ
リスク要因として注視すべきは以下の3つ。
リスク要因
- ワクチンの接種が遅延するリスク
- 変異型ウイルスが拡大するリスク
- 景気の減速リスク
FEDやIMFは、今年の高い経済成長が一過性の現象であると予測している。
コロナリスク再燃の可能性が高まれば、FEDやIMFが予測する以上に景気が減速するとの懸念を市場は意識する可能性がある。
このリスクが現実となれば、景気に敏感な銘柄が多いバリュー株には下落の圧力が高まるだろう。
よって、常に好決算を発表しているグロース株の銘柄に注目しておく必要がある。
注記事項
当サイトのコンテンツを参考に投資を行い、その後発生したいかなる結果についても、当サイト並びにブログ運営者は一切責任を負いません。すべての投資行動は『自己責任の原則』のもとで行ってください。
最後に
Pythonを学びたい方へ
今やPythonは、マーケットの分析に限らず、あらゆる分野で使われているプログラミング言語です。
事実、今回の記事でもPythonでグラフやチャートの分析によく用いられる『seaborn』を用いて相関チャートを作成しました。
Pythonを学んでおけば株式の投資に役立つだけでなく、これからのキャリアを形成する上でも力強い武器となるでしょう。
『私もPythonを学んでみたい!』
という人は以下のリンク先をご覧ください。
プログラミングを学ぼう
なぜプログラミングを学ぶ必要があるのか?その理由がわかります。
そして、ジェイが四苦八苦しながら『これがPythonを効率的に学ぶ方法だ!』と自信をもっておすすめした学習方法について解説しています。
この記事と出会ったのも何かの縁です。
ぜひチャレンジしてみてください!