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前回の記事(前編)では、インフレリスクに伴う米長期金利の上昇が米国株(アメリカ株)、特にグロース株のトレンドに大きな影響を与えると指摘しました。
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【米国グロース株の焦点】今注目すべきはインフレのリスク 前編
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その米長期金利ですが、9月29日以降はひとまず上昇が一服しています。
米長期金利のチャート
しかし、インフレ要因は未だ健在です。
インフレを高める要因
- 半導体などのサプライチェーンの混乱
- 労働力の不足
今年の夏時点で、2021年の後半からは上のボトルネックが徐々に改善していくとの見通しが大勢でした。
しかし、現実は違いました。
新型コロナ・デルタ株の感染が拡大した影響を受け、自動車業界をはじめとしたあらゆる産業で半導体や部品の供給不足が続いています。
このため、現在は景気回復と需要の増加に供給が追いつかず、モノの価格が上昇(=インフレが高止まり)しています。
米国の西海岸では先月、入港待ちのコンテナ船が過去最多となり、稼ぎ時の年末商戦までに商品が消費者に届かない懸念が高まっています。
インフレの高止まり、もしくは加速させる要因としてジェイが注目しているのがー
注目していること
労働力の供給不足が続くかどうか?
です。
この点を判断するためには、どんな材料に注目すれば良いのか?
後編となる今回は、この点にフォーカスしたお話しです。
この記事の対象となる人
こんな人におすすめ
- 米国株の投資に興味がある人
- 今週 米株を買うかどうか迷っている人
この記事でわかること
わかること
・9月雇用統計のポイント
・賃金の動向が重要
チェックすべき2つの指標データ
米国(アメリカ)の労働市場がどんな状態にあるのか?
この点を確認する上で、ジェイは常に2つの指標データをチェックしています。
2つの指標データ
- ISM指数
- 雇用統計
ISM指数
米国には、全米供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)という組織があります。
ISMは、月の第1営業日に『ISM製造業景況感指数』、第3営業日に『ISM非製造業景況感指数』を発表します。
ISM指数は景気の先行指標であることから、多くの投資家が重要視する指標データのひとつです。
ISM指数の特徴
- ISMによるアンケート形式
- サンプル数:製造業は300社以上 / 非製造業は375社以上
- 50以上ならば景気拡大 / 50 以下ならば景気後退と判断
- 『雇用指数』は雇用統計の”前哨戦”とみられている
アンケートの項目には、「新規受注、生産、雇用、入荷状況、在庫」などがあります。
その中でも『雇用』は、製造業とサービス業の労働市場の状況ついて具体的な数値で確認できます。
ゆえに、米雇用統計の”前哨戦”として多くの市場関係者が注目しています。
では、実際にISM指数の雇用がどんな状況なのか?昨年のコロナショック以降のトレンドで確認してみましょう。
ISM雇用指数のチャート
今月1日(金)に発表された製造業指数の雇用は、49.0から50.2に改善しました。
しかし、米国の産業構造は製造業が約11%である一方、サービス業(非製造業セクター)は67%を占めます(2020年時点)。
よって、重要なのはサービス業の雇用です。
5日(火)に発表されるISM非製造業景気指数で雇用の改善が進んでいることが確認できれば、8日(金)の雇用統計は強い内容となる可能性があります。
逆にサービス業の雇用が落ち込むようだと、雇用統計はさえない内容となる可能性があります。
よって今週は、まず5日(火)に発表されるー
重要な指標
ISM非製造業景気指数の結果をチェック
することが重要です。
雇用統計
そしてISM指数以上に重要な指標がー
重要な指標
雇用統計
です。
この指標の特徴はー
雇用統計の特徴
- 発表日:毎月第1金曜日(原則)
- 調査項目:10以上の項目
- 影響:FRBの金融政策に大きな影響を与える
です。
10以上の項目にわたり、労働市場の状況を具体的な数値で詳細に確認できるため、世界中の投資家がこの指標に注目しています。
特にマーケットに大きな影響を与えるのがー
2つの指標データ
- 非農業部門雇用者数
- 失業率
- 平均時給
の3項目です。
9月雇用統計の注目ポイント
今回の予想
まずは、9月雇用統計の予想から。
このブログを書いている時点での市場予想は以下となります。
9月雇用統計の予想
- 非農業部門雇用者数:50.0万人
- 失業率:5.1%
- 平均時給(前年同月比):4.6%
今回の注目ポイント
そして今回の注目ポイントはー
注目ポイント
非農業部門雇用者数の伸びと賃金の上昇
にあります。
なぜか?
それは、市場が注目しているのが『賃金インフレ』にあるからです。
実際に平均時給(前年同月比)の伸びを確認してみましょう。
米雇用統計ー平均時給のチャート
今年の4月を境にして、賃金の伸びが加速していることがわかります。
賃金の伸びが加速している理由は、3つの要因が同時に発生しているからです。
3つの要因
- デルタ株の感染拡大
- 米企業が採用で苦戦
- 労働者がより高い賃金を求めている
米国の経済は、大規模な経済対策により急速に回復してきました。
需要も回復傾向にあります。
しかし、新型コロナ・デルタ株の出現で米企業は思うように採用が進んでいません。
つまり、今の米国の労働市場は働き手にとって有利な状況にある、ということです。
このため労働者は、より高い賃金を求めて職探しを長引かせてきました。
その傾向が今回の雇用統計でも確認されれば、つまりー
ポイント
雇用者の伸びが抑制されると同時に賃金の上昇トレンドが続けば
米国の債券市場では、賃金インフレの懸念が高まる可能性があります。
ただでさえ、サプライチェーンの混乱でインフレが高止まりしている状況で、賃金インフレまでが意識される場合、米国の株式市場では金利の上昇リスクが意識される可能性があります。
金利の上昇リスクが強く意識される場合、グロース株を中心に売り圧力が高まる展開を警戒すべきでしょう。
今週は様子見の1週間
今の米国株式はリスク要因に囲まれています。
リスク要因
- 恒大集団の問題
- 中国経済自体の減速懸念
- 米国の債務問題
- バイデン政権の政策運営能力の低下
このタイミングで米国の雇用統計がインフレの圧力を高める内容(もしくはその懸念を高める内容)となれば、米国の株式市場はさらに下値を目指す可能性があります。
なので、ジェイは今週の米国株(アメリカ株)ついて『様子見の1週間』と、考えています。
ちなみに、S&P500のテクニカル分析でも『様子見の1週間』がベターな選択だと、ジェイは考えています。
S&P500のチャート
今回のテクニカル分析でジェイが注目しているポイントは、以下の3つです。
3つのポイント
- 50日線がレジスタンスラインとなっている
- 100日線をブレイクしている
- 50%戻しで確実に反転するかどうかを見極める局面にある
なるべく安い株価の時に買いたい!と思うのが人情です。
しかし、先行きの不透明感がたまっていることを考えると、せめて50日線の突破を確認してからゆっくりと買いに動く方が良い、とジェイは考えています。
今回は以上です。
注記事項
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