今日も恒例の早朝散歩で一日がスタート。
風が気持ちいい~!と思っていたら...
あっという間に暴風状態に!
あらためて自然の変化の激しさを感じましたが、株式市場の方では...
中国の株式市場に大きな風が吹いてます。
突然上昇した感のある中国の株式ですが、この背景には何があるのでしょうか?
今日はこの点について考えてみたいと思います。
大きな風が吹いている中国の株式市場 / その背景には何が?
急騰する中国の株式
中国の代表的な株価指数に、「CSI300」という指数があります。
CSI300とは
- 上海証券取引所と深セン証券取引所で取引されているA株のうち、時価総額と流動性の高い上位300銘柄で構成された株価指数
簡単に言えば...
中国の株式市場に上場している企業の中でも優良な企業を300社集めた株価指数
ということです。
そのCSI300のチャートを確認すると6月30日以降、急騰していることがわかります。
経済指標は改善傾向だが...
中国の指標データは改善傾向にあります。
例えば、中国の製造業の動向を見る上で重要な指標「製造業PMI」があります。
6月のPMIは「51.2」でした。
前月の50.7から上昇し、かつ6カ月ぶりの高水準とでした。
同じく企業の生産活動を示す鉱工業生産も前年同月比で「4.4%増」と、急回復しています。
しかし、これらの良好な指標データは、コロナショックで急減した反動と見るべきでしょう。
コロナショック第2波の可能性と中国を取り巻く国際情勢を考えるならば、現在の株高はむしろ今後リスク要因となる可能性があります。
米国とインドの動向
ジェイは後者の状況、中国を取り巻く国際情勢が厳しくなっていることに注目しています。
どのように中国を取り巻く環境がしくなっているのか?
以下にまとめてみました。
- 米国では中国企業の上場規制が厳しくなり、かつ上場廃止という強硬な手段を講じるケースが増えている
- ポンペオ米国務長官はショート動画アプリ「TikTok」について、米国内での利用を禁止する可能性があると表明
- インドでは、59種類におよぶ中国のアプリを使用することを禁止した
- 英国は、5Gネットワークから中国のファーウェイを除外する準備を進めていることが判明した
このように主要な国々が中国の企業に対して強硬スタンスを取る中、日本でも米国の動きに追随するとの報道が流れています。
中国株が突然上昇した背景には何が?
中国に対する各国のスタンスが厳しさを増したきっかけが、香港で反政府的な動きを取り締まる
国家安全維持法の可決
でした。
この法案は6月30日に可決されましたが、CSI300はその日から5連騰の上昇相場となりました。
確かに一部の指標データは改善傾向を示してます。
しかし、コロナショック前の水準に回復しているわけではありません。
上での述べたとおり、むしろ先行きの不透明感が残る状況では、年初来の高値をはるかに超える株価の上昇には違和感があります。
なぜ中国の株式は突然上昇したのか?
そのヒントが中国証券報6日に報じた内容に見て取れます。
注目すべきは...
新型コロナウイルス後の世界で中国株式市場はさらなる上昇が必要
との認識を示したことです。
香港の問題と中国株式の上昇の必要性についての言及...
これらの状況や事実からから読み取れることは...
- 中国は香港問題で諸外国から厳しい対応を取られることを想定した
- それゆえ自国の証券市場で資本を調達する重要性を強く認識した
- このことを察知した投資家が中国の株式を買う動きに出た
ということです。
自国の証券市場を活性化することは...
・香港問題で国際金融都市としての機能を失わないこと
・米国や他の国の証券市場に頼ることなく、中国の企業が安心して資金を調達するプラットフォームを作る
という目的やメリットがあります。
しかし逆に考えるならば
・香港問題で、今後中国は孤立する可能性がある
・それゆえ自国で資金調達がカバーできる証券市場作りに舵をきった
と読み取ることもできます。
つまり、中国は自国と中華の経済圏をしっかりと固めながら米国との覇権争いを進めていく、ということです。
今後のリスク要因となる可能性
どちらにしても現在の中国の株高は、経済の情勢や景気の先行きをベースとした上昇ではありません。
コロナショック第2波のリスクが常に水面下でくすぶっている状況を考えるならば、今回の中国株の上昇は、むしろ2015年の上海株ショックのようなリスク要因となる可能性があります。
中国の株安トリガーの要因として目先注視すべきは
米中対立の激化
です。
香港は今年9月6日に立法会(議会)選挙が実施されます。
今月18日から届け出が開始されますが、選挙戦の過程で香港の自由が奪われるとの懸念が米国内で高まれば、米国は対中政策を強化してくる可能性があります。
当然、中国も対抗策を講じてくるでしょう。
対抗策を講じるからには...
トランプ米政権が痛いところ
を狙ってくるでしょう。
その痛いところとは何か?それは...
トランプ米政権の功績
です。
では、その功績とは何か?それは...
米中貿易の第一段階の合意
です。
第一段階の合意内容は以下となります。
- 中国は2017年と比べて、今後2年の間に米国からのモノやサービスの輸入を2000億ドル(約22兆円)以上増やす
- 工業製品の輸入額は、少なくとも2020年に1200億ドル増やし、来年に1319億ドルとする
- 農産品の輸入額は、今後2年間で少なくとも800億ドルとする
- エネルギー製品の輸入額は、2020年に301億ドル、来年に455億ドルとする
- サービス輸入額は今年999億ドル、来年に1122億ドルとする
概要はこんな感じです。
日本円にして22兆円の大型合意です。
しかもこれは第一段階です。
しかし、その第一段階で米中の対立が激化するならば、コロナショックで傷んだ経済の回復が遅れるとの懸念が高まるでしょう。
その懸念を政策相場が飲み込む展開が、現時点では予想されます。
しかし、一時的にせよ政策相場でも飲み込めないショックがやってくる場合、中国の株高には強烈な調整圧力が高まるでしょう。
そして中国の株式⇒アジアの株式⇒欧州の株式⇒米国の株式へ負の連鎖が広がる展開が予想されます。
2015年の上海株ショック
がまさにこの展開でした。
まとめ
今回のまとめです。
- 中国株が急上昇している
- 上昇の背景には中国を取り巻く国際政治の情勢が大きく影響している
- 中国は自国や中国の経済圏をベースに米国との覇権争いに臨む方向へ舵をきった
- 中国の株高は新たなリスク要因になる可能性あり
以上です。