5月も最終週ですね。緊急事態宣言も結論ありきの解除です。
新型コロナウイルスは「風邪」と「SARS」のハイブリッド型ウイルスというのが、管理人ジェイの意見です。
「風邪」の要素がある以上、今年の秋を待たずとも、緊急事態宣言が解除されてから2週間後に再び感染者数が増加する事態も考えられます。
「コロナ第2波」が、株式市場が下落する要因であることは言うまでもありません。
そしてもうひとつの株安リスクが「米中対立の再燃」です。
新型コロナウイルスの感染拡大 ⇒ 米国経済の停滞 ⇒ トランプ米大統領の支持率低下
というプロセスを経て、米中対立が再び再燃するムードが高まっています。
このタイミングで、国家安全法に対する抗議デモが香港で激化するというおまけも付いてます。
こういった株安のリスクがくすぶっているにもかかわらず、今日の日本株は序盤から強い展開が続ています。
米国株式の先物指数もMemorial Day(戦没者追悼記念日)で米系勢が不在ですが、アジア時間はプラス圏で推移しています。
いや、正直に言って強いですね。
では、米国株式の上昇は今週も続くのでしょうか?
今日はこの点ついてお話します。
今回の要点
結論から言いますと、米国株式は調整の反落をはさみながらも、株高トレンドを維持するとジェイは予想しています。
その理由は....
理由1 | 米ドルの調達コストが安定している |
理由2 | 格付けの低い社債が安定している |
理由3 | 原油先物価格が安定している |
からです。
今回と次回に分けて、ひとつひとつみていきましょう。
米ドルを調達するコストって?
今回は「米ドルの調達コスト」についてフォーカスします。
これは結構ややこしいからです。
現在の世界は、国境を越えてヒト、モノそしてマネーや商品が飛び交う時代です。
そうなると、世界的にビジネスを展開する企業が増えます。
いわゆる
「貿易」
ってやつです。
貿易をするためには何が必要だと思いますか?
そう...
「基軸通貨の米ドル」
です。
世界の貿易は米ドルでの決済が主流です。
とういうことは、日本をはじめとした米国以外の企業や投資家は、常に米ドルを持っておく必要があります。
しかし、米ドルを持つ(買う)ということは、為替が変動する際に損失をこうむってしまうリスクを持つ、ということになります。
そこで米ドルを欲しい人は、欲しいだけの米ドルをある一定の間だけ借りるということをします。
そしてその期間(契約した期間)が過ぎたら、借り手は貸し手に米ドルを返すのです。この期間はだいたい3か月くらいが主流です。
これら一連のプロセスで発生するコストが「米ドルの調達コスト」なのです。
簡単にまとめると...
米ドルを借りる理由とプロセス
1 | 米国以外の企業などは貿易に必要な米ドルを保有していない |
2 | 米ドルを持つと為替リスクも持ってしまう |
3 | 為替リスクを避けるために一定の間「借りる」 |
4 | 契約の期間が過ぎたあと米ドルを返す |
調達コストのチャート
言葉でいってもわかりづらいので、ビジュアルチャートでそのコストを見てみましょう。
米ドルの調達コストは「カレンシー・ベイシス・スワップ」という市場で確認できます。
今回は「日本円から米ドルに交換する際のコスト」のデータを使用します。
チャートの見方ですが、「ラインの低下=コスト高」「ラインの上昇=コスト安」となります。
感覚的には「逆だろう」と思う人がいるかもしれません。
この点を理解するためのポイントは2つあります。
ポイント1 | ラインは金利の価値を表してる |
ポイント2 | 主語は「日本円を持つ企業」 |
このように考えると、違和感が消えると思います。
具体的にいうと、ラインは日本円の金利の価値を示しています。
そのラインが低下するということは金利の価値が下がるということです。
金利の価値が下がった日本円を保有しているのは日本の企業です。
つまりラインが下がるということは...
「日本円の金利の価値を差っ引いてでも米ドルを借りたい!」
という需要が金融市場で高まっていることを示しています。
一方、ラインが上昇するということは...
「日本円の金利の価値を差っ引かなくても米ドルが借りられる!」
という状況を示しています。
あらためてチャートを見ると...
① | 3月下旬まで | ラインチャートが下落 | 米ドルの需要が急速に高まった |
② | 3月下旬以降 | ラインチャートが上昇 | 米ドルの需要が急速に低下している |
とうことがわかります。
①の局面は、コロナショックが最もひどかった時です。ラインチャートが急低下しているということは...
という流れが、3月上旬から中旬にかけて加速したのです。
そして②の局面では真逆の展開となっています。
つまり..
という流れが3月下旬以降発生し、現在もその状況が続ているのです。
投資家心理は安定している
3月上旬から下旬にかけてのラインの低下は、投資家の不安心理が最高潮に達したことを示しています。
この時は安全資産である金すら売られ、あれゆる企業や投資家が我さきにと米ドルを求めたからです。それがラインの急低下に表れています。
しかし、現在は違います。
多少、日本円の金利の価値を差っ引く状況にありますが、3月と比較するとラインの水準は上です。
つまり、現在は日本の企業や金融機関は安く米ドルを借りることができるのです。
安く借りることができるのは米ドルの需要が後退しているからです。
米ドルの需要が後退しているということは、先行きの不安に対して多くの企業や投資家がひとまず安心しているからです。
そう、米ドルの調達コストが安くなっているとうことは、投資家の心理が落ち着いていることを示しているのです。
もちろんこの状況が永遠に続くわけではありません。
しかし、今週という短いスパンで考えるならば、コロナショックのようなビッグイベントが発生する可能性は低いです。
よって、投資家の心理を表す米ドルの調達コストは安定的に推移するでしょう。
それは米国株式の上昇トレンドが続くことにつながります。
まとめ
今回のコメントのまとめです。
コロナ第2波や米中対立の再燃リスクがある |
しかし米ドルの調達コストは安定している |
調達コストの安定は投資家心理の安定を示している |
今週の米株は上昇基調を維持するだろう |
以上です。
次回は社債と原油先物価格についてお話します。