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今週から米国の株式市場は、13日の大手銀行JPモルガンチェース(JPM)を皮切りに四半期決算シーズンに突入します。
米国の企業決算で注目すべきポイントは、以下となります。
注目ポイント
- 売上高 vs アナリスト予想
- EPS vs アナリスト予想
- 通期の売上高ガイダンス vs アナリスト予想
- 通期のEPSガイダンス vs アナリスト予想
米国の株式市場に参戦している多くの投資家は、上で挙げたすべての項目がアナリスト予想を上回っているかどうか?この点をチェックします。
その上で個別の要因、例えばアップル(AAPL)ならば新型iPhoneの売れ行き予想、テスラ(TSLA)なら電気自動車の売れ行き予想といった個別の要因もチェックします。
それらの分析結果をもとに、投資をするかどうか?(継続するかどうか?)を判断します。
そして、今回の決算で投資家がより重視してくるのがー
重要ポイント
収益の見通し(ガイダンス)
だと、ジェイは考えています。
なぜか?
今日はこの点についてお話しします。
この記事の対象者
こんな人におすすめ
- 米国株の投資に興味がある人
- 投資の経験が浅い人
この記事でわかること
わかること
- 注意すべきリスク要因
- 株式と金利の関係
- 収益見通し(ガイダンス)の重要性
今、注意すべきリスク要因
インフレのリスク
9月のレイバーデー明け後から、米国株(アメリカ株)の上昇トレンドに陰りが見えています。
以下のリスク要因が意識されているからです。
リスク要因
- デルタ株の感染拡大
- 労働力の不足
- サプライチェーンの混乱
- 資源価格の急上昇
これらのリスク要因はー
重要ポイント
世界的なインフレのリスクを高める原因
となっています。
労働力の不足とサプライチェーンの混乱の主因は、デルタ株の感染拡大が予想外に広がり、かつ長期にわたって続いたことにあります。
一方、資源価格の上昇は、急拡大する需要に供給が追いついていないことが要因です。
その代表例が、NY原油先物価格(WTI)です。
今月11日にWTIは、7年ぶりに82ドル台へと上昇しています。
国際商品市況のトレンドを示すCRB指数のチャートを確認してみましょう。
国際商品市況のチャート
昨年のコロナショック前の水準(187ポイント)を完全に突破し、現在は235ポイント付近まで急騰しています。
サプライチェーンの混乱や資源価格の上昇が続く限り、米国の株式市場と債券市場ではインフレのリスクを意識する状況が続くと思われます。
金利の上昇リスク
そしてインフレのリスクは、世界的な金利上昇リスクの原因となっています。
特に注目されるのが、米金利の上昇リスクです。
景気の動向に敏感な10年債利回り(長期金利)は、一時1.63%へ急上昇しています。
米長期金利のチャート
株式と金利は『シーソーの関係』にあります。
株式と金利の関係
- 米金利の上昇 → 米国株の下落
- 米金利の低下 → 米国株の上昇
無リスクの資産とされる米国債の利回りが上昇すれば、その分だけ米国株(アメリカ株)に求められる期待リターンの水準が高まります。
なので、今回の決算シーズンで米国の企業が相次いで将来の収益見通し(ガイダンス)を下方修正する場合ー
下方修正の場合は
期待リターンを下回るリスク
に対する投資家の警戒心が高まるでしょう。
株式市場に参戦する多くの投資家は、少なくとも半年先を見越して投資をするという特性があります。
よって、決算対象となる期の業績がアナリスト予想を超えても、将来の見通し(ガイダンス)に明るさが見えなければ、10月の米国株(アメリカ株)はズルズルと株価の水準を切り下げていく可能性があります。
アマゾンとナイキの株価が示すガイダンスの重要性
いかに収益の見通し(ガイダンス)が重要かー
この点を端的に示しているのがー
注目ポイント
アマゾンとナイキの株価
です。
売上高見通しでミスしたアマゾン
今年の7月29日、アマゾン(AMZN)は第2四半期(Q2)の決算を発表しました。
広告事業とクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が好調で、Q2の決算内容は良好でした。
しかし、アマゾンが示した第3四半期(Q3)の売上高見通しは1060億〜1120億ドルと、アナリスト予想の1189億ドル以下でした。
これが嫌気され、アマゾンの株価は下落しました。
アマゾンの株価チャート
8月下旬から9月上旬にかけて反発するも、短期のレジスタンスラインを形成。
そして9月の下旬には、多くの投資家が注視している50日EMAで反発が止められました。
この記事を書いている時点では、200日EMAをも下方にブレイクする展開となっています。
売上高見通しを引き下げたナイキ
一方、スポーツ用品大手のナイキ(NKE)は9月23日の決算で、2022会計年度(2021年6月からの1年間)の売上高見通しを引き下げました。
引き下げの理由は、上で述べたサプライチェーンの混乱により年末商戦までに製品が届かない懸念がある、とのことでした。
売上高の見通し(ガイダンス)を引き下げた結果、ナイキの株価は6月の好決算を受けて上昇した値幅が、一気に解消される展開となっています。
ナイキの株価チャート
テクニカルの面でも、アマゾンと同じく50日EMAで相場の戻りが止められ、現在は200日EMAの攻防となっています。
なお、10月12日にアナリストが投資判断を『買い』としてことで、50日EMAの攻防が再び焦点になる可能性があります。
逆に200日EMAをも完全に下抜ける場合は、地合いの弱さを投資家に印象付けるでしょう。
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仕掛けるなら決算を確認してから
アマゾンやナイキは、誰もが知る世界的なブランド企業です。
そんな企業の株価でされ、さえない収益の見通し(ガイダンス)を発表すると下落トレンドへまっしぐら、となってしまうのが今の米国株式の状況なのです。
しかし逆の味方をすれば、収益の見通し(ガイダンス)で強気の予想を示してくる企業の株価は上昇する可能性がある、ということでもあります。
よって今回の決算ではー
米企業決算の焦点
収益見通し(ガイダンス)の内容
これによって、明暗が分かれる可能性大です。
なので売買を仕掛けるならばー
売買のタイミングは?
決算を確認してからの方が良い
とジェイは考えています。
まとめ
・今週から米国では四半期決算シーズンに突入する
・供給制約によりインフレのリスクが意識されている
・インフレの加速で金利の上昇リスクが意識されている
・よって今回の決算の焦点は見通し(ガイダンス)にある
・ガイダンスの内容によって株価の明暗がわかれるだろう
・仕掛けるなら決算を確認してから
今回は以上です!
注記事項
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