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前回は、今年の米国株(アメリカ株)で注目すべきことは2つある、そのうちのひとつが『バイデン政権の政策を運営する能力はいかほどのものか?』この点にあります、というお話でした。
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【米国株】これからの見通しと取引戦略 第3回
そして、今年注目すべきことはもうひとつあります。
今回はこの点についてお話します。
今回の結論
結論
・ひとつは『バイデン新政権の政策運営能力』
・もうひとつは『FED VS 金利の上昇』
・アメリカ経済がコロナショックから完全に立ち直るまでFEDは量的緩和政策を続けるだろう
・しかし景気が回復すればアメリカの長期金利は上昇するだろう
・FEDが長期金利の上昇を抑え込むことができるかどうかで2021年のトレンドが左右される
2021年 注目すべき2つのポイント その2
注目ポイント②
ココがポイント
FED VS 金利の上昇
なぜ、2021年の注目ポイントに『FED VS 金利の上昇』を挙げるのか?
以下では、その理由を説明します。
今年も米国株のトレンドは『政策期待』が左右する
2020年の米国株(アメリカ株)は、トランプ米政権が打ち出した3兆ドルという前代未聞の財政出動と、FED(アメリカの中央銀行にあたる組織)が導入した無制限の金融緩和政策によって、株高トレンドを維持しました。
なぜか?それは大規模な財政&金融緩和政策によってー
2020年の米株高の要因
アメリカ経済が立ち直る!という期待が米国の株式市場で高まったから
です。
言いかえれば、『政策期待』が2020年の米株高のトレンドを支えてきたのです。
アメリカ経済は、未だコロナショックから完全に立ち直っていません。
なので、今年も『政策期待』が米国株(アメリカ株)のトレンドを左右するでしょう。
特にFEDが導入している『金融緩和政策』は、以下の点でとても重要です。
なぜ金融緩和政策が重要なのか?
- 量的緩和政策は資金(投資マネー)の供給源となっている
- 量的緩和政策は金利の上昇を抑え込む役割を果たす
量的緩和政策は『投資マネーの供給源』
現在FEDは、2つの金融緩和政策を実行しています。
2つの政策
- マネーを供給する『量的緩和政策』
- 金利の水準をゼロにする『ゼロ金利政策』
ジェイは『量的緩和政策』の方が重要だと考えています。
なぜか?
以下で説明するとおり、量的緩和政策は『金利の上昇を抑え込む役割』を果たしているからです。
本題に進む前に『量的緩和政策』について簡単に説明しますね。
量的緩和政策とはー
量的緩和政策って?
中央銀行が大量のお金(マネー)を金融市場に流し込む政策のこと
です。
どうやって大量のマネーを金融市場に流し込むのか?それはー
量的緩和政策の仕組み
- 中央銀行が民間の金融機関から国債などの金融資産を買う
- その対価として中央銀行は民間の金融機関にマネーを支払う
このようかたちで中央銀行は大量のマネーを金融市場に流し込んでいるというわけです。
アメリカの中央銀行にあたる組織は『連邦準備制度理事会(通称FED)』です。
そのFEDが流し込むマネーは『米ドル』です。
なので去年の4月以降、金融市場に出回っている米ドルの量は急激に増えています。
そして、ジャブジャブ供給された米ドルが株式市場へと流れ2020年の株高を演出しました。
そう、FEDが供給している米ドルとは、まさに『投資マネー』なのです。
FEDは量的緩和政策を長期化する
マネーをジャブジャブに供給しているFEDですが、昨年の12月に、長期にわたって量的緩和政策を続けるシグナルを送ってきました。
ヒントは、昨年の12月に行われた米国の金融政策を決める会合『連邦公開市場委員会(通称FOMC)』です。
FOMCが終わると『わたしたちはこれからこんふうにして金融政策をすすめていきますよ~』というFEDの見解をまとめた『声明文』が発表されます。
昨年の11月までの声明文では、量的緩和政策を続ける期間について『ある表現』が使われていました。
それが『over coming months(今後数か月)』という表現です。
しかし、12月の会合では以下のように変更されました。
表現の変更
『 toward the Committee's maximum employment and price stability goals』
『完全雇用と物価の安定に近づくまで継続する』
上の変更は、期間を設けずにコロナショックから米国の経済が立ち直るまで量的緩和を続けるよ!というシグナルをFEDが発信してきたことを意味しています。
量的緩和政策と金利の関係
なぜ、量的緩和政策が重要なのか?
それは『ある役割』にあります。
その役割とはー
量的緩和政策の役割
金利の上昇を抑える役割
です。
金利と一言でいっても、翌日物の金利から100年物の金利まで色んな種類の金利があります。
ちなみに、米国債の最長期間は30年です。つまり30年債利回りが最長となります。
色々ある金利の中で、最も注目されるのが『10年』です。この金利は一般的にー
10年債利回りとは?
長期金利
と言われています。
流動性が高く景気の先行きを反映していると考えられている10年債の利回りは、わたしたちの生活に大きな影響を与えています。
たとえば住宅ローンの金利は、長期金利の動向を反映してその水準が決められています。
また、生命保険の外貨建て商品の利回りも、外国の長期金利(米国債なら10年債利回り)を基準とする商品が多いですね。
そして、長期金利と景気の動向には以下の関係があります。
長期金利と景気の関係
- 景気の回復(期待)⇒債券の需要が縮小⇒金利が上昇
- 景気の後退(懸念)⇒債券の需要が拡大⇒金利が低下
上の関係をふまえた上で、米国の長期金利(10年債利回り)の動向をチャートで見てみましょう。
米長期金利のチャート
昨年の8月以降、緩やかな上昇トレンドにあることがわかります。
上の関係に照らして考えるならば、長期金利の上昇は、将来の景気回復を市場の参加者が予想していることを示しています。
しかし、昨年11月以降の動きを見てください。
節目の1%手前で、ずーっと長期金利の上昇がおさえられていたことがわかります。
これこそが量的緩和政策の役割です。
具体的には以下のような状況で長期金利の上昇がおさえられているのです。
景気が回復
長期金利に上昇が圧力が高まる
FEDは長期金利の上昇をおさえたい!
ここがポイント!
FEDは国債などを購入する
FEDによって長期金利の上昇が抑えられる
FEDは金利の上昇を抑えたい
景気が回復すれば金利が上がるのは自然であり当然のことです。
しかし、FEDは自然であり当然のことを抑え込もうとしています。
なぜか?それはー
FEDが金利の上昇を抑え込む理由
米国の経済は未だコロナショックから立ち直っていないから
です。
FEDを率いるパウエル議長は事あるごとにこの点を指摘しています。
なので、景気の回復途上にある長期金利の上昇は何としても抑え込むでしょう。
しかし、景気が回復すれば長期金利が上昇するのは自然であり当然のことです。
もういちど、アメリカの長期金利のチャートを見てみましょう。
米長期金利のチャート
まさにこのブログを書いている時、アメリカの長期金利は節目の『1%』へ到達しました。
アメリカの長期金利は、経済の原則に従って上昇しているだけです。
しかし、FEDは『コロナショックからの完全復活』を達成しようと経済の原則に逆らうでしょう。
果たしてFEDは経済の原則に逆らい続けることができるのか?
それとも経済の原則が勝つのか?
もし後者ならば、ハイテク株には下落圧力が高まることが予想されます。
そしてハイテク株の下落は、米国株(アメリカ株)全体の上昇トレンドに水を差すでしょう。
注目の勝負
『FED vs 金利の上昇』の勝負
上の勝負の結果次第で、2021年の米国株(アメリカ株)のトレンドを左右されるとジェイは予想しています。
今回のまとめ
まとめ
・ひとつは『バイデン新政権の政策運営能力』である
・もうひとつは『FED VS 金利の上昇』である
・アメリカ経済がコロナショックから完全に立ち直るまでFEDは量的緩和政策を続けるだろう
・しかし景気が回復すればアメリカの長期金利は上昇するだろう
・FEDが長期金利の上昇を抑え込むことができるかどうかで2021年のトレンドが左右される
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