9月に入ってからの米国株は、上値の重い展開となっています。
株式市場では一般的に、『52週の間に付けた最高値から10%以上下落したら、相場が調整の局面に入る』と言われています。
株式の投資をしていると『調整』ということばをよく耳にします。この調整とは...
★上昇のトレンドにある株価が反落へ転じること
☆下落のトレンドにある株価が上昇へてんじること
つまり『これまでのトレンドとは反対の方向に株価が動くよ』ということです。
米国の株式市場にはダウ平均、S&P500指数そしてナスダック総合指数という3つの代表的な株価指数があります。
このなかで現在、10%以上下落しているのは『ナスダック総合指数』です。
ナスダック総合指数は、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)といったハイテク株のトレンドを映す鏡のような指数です。
そして今年の4月以降、米国株の上昇を引っぱってきた指数でもあります。
なので、ナスダック総合指数のトレンドをみることは、米国株のトレンドを予測するために必要なことなんです。
そんなナスダック総合指数はさらに下落するの?それともまた上昇するの?
今回は、ナスダック総合指数の短期的な予測をしてみたいと思います。
結論
10,800ポイントを下抜けるとさらに下落
この記事の対象となる人
・ナスダック指数の動きに興味のある人
・米国のハイテク株を取引したい人
焦点は『10,800』の攻防
さて、今月の2日にナスダック総合指数は12,074ポイントまで上昇しました。しかし、そのあとは下落が続き、8日に10,837まで下落しました。
下落率にすると『10.24%』です。
うーん... ピッタリ10%の下落率...
最初に述べたセオリーを重視するなら、このまま下落しつづけることが予想されます。
一方、短期間で10%下落したので、多くの投資家が『よし!安く買える!』とばかりに、ハイテク株を買いあさってくる可能性もあります。
こんなビミョウな状況の中でジェイが注目しているのが...
『10,800』の攻防です。
なぜか?
その答えはチャートにあります。
ナスダック総合指数の日足チャート
まず注目したいのは、『10,800』が8月11日に相場をサポートし最高値12,074ポイントまで上昇する起点となった、ということです。
そして昨日(9/11)は、安値終値では10,728まで下落するも、終値では『10,800』の水準を維持することに成功しました。
つまり1か月前と同じことが、昨日も起こったということです。
同じことが起こるということは、来週以降ナスダック総合指数は反転する可能性がある、ということです。
また、赤いポイントで示した7月の下旬の動きにも注目です。
この時は、サポートではなく『レジスタンスポイント』として意識されていました。
価格の上昇が止まる水準のことをいいます。
この水準は「相場が再び下落へ転じる」可能性がある水準と考えます。
逆にレジスタンスポイントの突破に成功する場合は、相場の上昇圧力がさらに強まったと判断します。
・反転のシグナル
レジスタンスポイントがサポートポイントへ転換する場合があります。
この転換は『相場の反転シグナル』となります。
株価がレジスタンスポイントを突破すると、上昇に勢いがつくパターンが多く見られます。
また、レジスタンスポイントがサポートポイントへ転換する場合、『相場の反転シグナル』ともなります。
これらの特徴を見事に示したのが、8月11日以降の上昇でした。
つまり『10,800』というポイントは、ナスダック総合指数がさらに下落するのか?それとも上昇トレンドへ転換するのか?を見極めるうえで、とっても重要な水準なのです。
テクニカルでも10,800は重要なポイント
また、株式投資の分析でよく使うテクニカルの面でも、10,800が重要な水準であることがわかります。
今回使うテクニカル指標は『フィボナッチ』です。
13世紀のイタリアが生んだ天才数学者レオナルド=フィボナッチによって発見されたフィボナッチ数列を相場の分析に取り入れたテクニカル指標です。
・フィボナッチ数列とは?
初項 1,第2項 1として、隣り合う項の和が次の項の値となるような数列のことです。
具体的には...1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233... という数字の列のことです。
・フィボナッチ数列をテクニカルで見るってどういうこと?
上の数字のうち任意で2つ選んでください。そして割り算してください。そうすると、以下の比率が計算されます。
例)
・13÷55=0.236(23.6%)
・89÷233=0.382(38.2%)
・144÷233=0.618(61.8%)
・233÷89=1.618(161.8%)
前の数字の方ではバラつきがありますが、数が大きくなると一般的に以下のパーセンテージが計算されます。これを『黄金分割比』といいます。
・黄金分割比
この黄金分割比をチャートにプロットして、高値からどの黄金分割比まで価格が下がるのかな?安値からどの黄金分割比まで価格が上昇するのかな?を見ます。
フィボナッチは、ジェイが最も使うテクニカル指標のひとつです。
そして株式投資をする際に、最もポピュラーなテクニカル指標のひとつでもあります。
今回をきっかけに覚えておきましょう。
今後は、ナスダック総合指数のチャートにフィボナッチをプロットしてみましょう。
ナスダック総合指数の日足チャート
フィボナッチの23.60%の水準が『10,788』であることがわかります。
23.60%の水準はフィボナッチの中で、最初に相場が反転する可能性を意識すべきポイントになります。
そのポイントが『10,800』のすぐ下にあるのです。
10,800を下にブレイク
本当にビミョウな状況ですよね(苦笑
ビミョウとか言ってないで、おまえはどう思ってるんだよ?という声が聞こえます...
結論からいうと、ナスダック総合指数は『10,800』を下にブレイクすると予想しています。
理由は2つあります。
ひとつは『25日移動平均線』で上値が抑制されていることです。
ある一定期間の価格から終値の平均値を計算して、それをつなぎ合わせた折れ線グラフのことです。相場のトレンドを見るときに使われる最も代表的なテクニカル分析指標のひとつです。
期間は5日、10日、25日、75日、200日を用いるのが一般的です。
25日移動平均線は、25日間の平均の終値をひとつひとつつなげたラインです。1か月のトレンドを示すラインです。
ナスダック総合指数の価格と25日移動平均線をチャートで確認すると、ある変化が見て取れます。それは...
ナスダック総合指数の日足チャート
25日移動平均線がずっとナスダック総合指数をサポートしてきた
25日移動平均を完全にした抜けている
9月10日にナスダック総合指数の上昇を止めた
注目は9月以降の動きです。
具体的には、これまでナスダック総合指数をサポートし続けてきた25日移動平均が、10日にレジスタンスへ転換していることです。
ここでもういちど『レジスタンス』の特徴をみてみましょう。
価格の上昇が止まる水準のことをいいます。
この水準は「相場が再び下落へ転じる」可能性がある水準と考えます。
逆にレジスタンスポイントの突破に成功する場合は、相場の上昇圧力がさらに強まったと判断します。
・反転のシグナル
レジスタンスポイントがサポートポイントへ転換する場合があります。
この転換は『相場の反転シグナル』となります。
ふたつめのポイント『反転のシグナル』は、サポートポイントがレジスタンスポイントへ転換したときにもいえることです。
これは、サポートラインとレジスタンスラインと言いかえても同じことです。
そう、今月の10日に『反転のシグナル』が発生していたのです。
では、ナスダック総合指数が10,800を下にブレイクする場合、下落トレンドはしばらく続くのでしょうか?それともすぐに上昇トレンドへ戻るのでしょうか?
次回はこの点について考えてみますね。
今回のまとめ
・目先の重要ポイントは『10,800』
・過去の動向とテクニカルでみると『10,800』を下に抜ける可能性が高まっている
今回は以上となります。