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米国株の中でも、あいかわらずハイテク株は値動きが面白いですね~
特にアップル(AAPL)は8月末に1対4の株式を分割したことで、個人の投資家が買いやすくなりました。
なので、今後もアップル(AAPL)株は大きく動くことが予想されます。
アップル(AAPL)以上に注目されているのが、米国の半導体銘柄です。
その値動きたるや、アップル(AAPL)の上昇をしのぐ銘柄もあります。
そこで今回と次回では、プログラミング言語のPythonを使って、アップル(AAPL)の株価の影響を受けやすい半導体銘柄って何?というテーマで記事を書いてみたいと思います。
今回ターゲットにピックアップしたのは、アップル(AAPL)に半導体を提供している以下の3銘柄です。
1:ブロードコム(AVGO)
2:マイクロン・テクノロジー(MU)
3:クァルコム(QCOM)
結論
AVGOとMUはアップル(AAPL)株の影響を受けず
この記事の対象となる人
米国株の半導体銘柄に投資を考えている人
アップル(AAPL)株の影響を受けやすい半導体銘柄は?
アップル株の影響を受けやすい銘柄を知る方法として、今回は統計学の分析モデルを用いました。
げ!なんだか難しそう...
なんて思った方もいると思いますが、ご安心を!
このブログは投資の初心者向けに情報を発信しています。
なのでムズカシイことは抜きについて、といっても分析モデルの概要はもちろん説明しますが、簡単に説明していきます。
今回使った統計モデルは...
『ベクトル自己回帰(VAR)モデル』
というモデルです。
VARモデルって?
・ごくごく簡単にいえば、複数の銘柄同士がどのくらい影響を受け合っているかを分析するモデルです。興味のある方はGoogle先生に聞いてください。
VARモデルで分析してみた
・期間:2020年4月1日~9月4日のニューヨーク終値まで
・データ数:111
ブロードコム(AVGO)
まずは、株価が絶好調のブロードコム(AVGO)の影響を見てみましょう。
<strong>ブロードコム(AVGO)への影響は?</strong> ================================================================================= coefficient std. error t-stat prob --------------------------------------------------------------------------------- const 37.884697 10.279925 3.685 0.000 L1.Apple 0.399599 0.373494 1.070 0.285 L1.Broadcom 0.503505 0.180949 2.783 0.005 L1.Micron_Tech -0.578138 0.664304 -0.870 0.384 L1.Qualcomm 0.423605 0.336140 1.260 0.208 L2.Apple -0.342684 0.364626 -0.940 0.347 L2.Broadcom 0.573610 0.187447 3.060 0.002 L2.Micron_Tech -0.376185 0.646233 -0.582 0.560 L2.Qualcomm -0.636169 0.371915 -1.711 0.087 =================================================================================
なにやら見慣れない英単語と数字がいっぱい出てきましたね。
心配はいりません。見方はいたって簡単です。
一番左はしの『L1』というのは、『一期前』という意味です。
『L1.Apple』なら、アップル(AAPL)株の一期前、つまり今日からみて一営業日前の株価ということになります。
そして一番右はしの『prob』が0.05以下ならば、アップル(AAPL)の株価はブロードコム(AVGO)の株価に『影響あり!』と判断します。
(スマホの方は一覧表を左へスワイプしてください)
0.05ってなんのこと?
『5%』という意味です。
この5%という数値は、計算された値が統計的に有意か有意でないかを見極める重要な数 値です。5%以下ならば、統計的に有意と判断します。
では、ブロードコム(AVGO)の株価に影響を与えている項目をprobで確認してみると...
何期前 | 銘柄 | prob |
L1(1期前) | ブロードコム(AVGO) | 0.005 |
L2(2期前) | ブロードコム(AVGO) | 0.002 |
1期と2期前の自分自身(ブロードコム)の株価にのみ影響を受けていることがわかります。
ちなみに今回は『アップル(AAPL)の株価の影響をどのていど受けているのかをみる』ということですが...
何期前 | 銘柄 | prob |
L1(1期前) | アップル(AAPL) | 0.285 |
L2(2期前) | アップル(AAPL) | 0.347 |
1期前のアップル(AAPL)は0.285(28%)と、統計的に有意な値ではありませんでした。
そして2期前のアップル(AAPL)は0.347(34.7%)と、1期前以上に有意な値ではありませんでした。
つまり、ブロードコム(AVGO)にとって、アップル(AAPL)は重要な取引先ですが、ブロードコム(AVGO)の株価は、アップル(AAPL)の株価の影響を受けていない、ということになります。
マイクロンテクノロジー(MU)
次にアップル(AAPL)株とマイクロテクノロジー(MU)の株価について見てみましょう。
<strong>マイクロテクノロジー(MU)株への影響</strong> ================================================================================= coefficient std. error t-stat prob --------------------------------------------------------------------------------- const 8.958330 2.392385 3.745 0.000 L1.Apple 0.029715 0.086921 0.342 0.732 L1.Broadcom 0.012886 0.042111 0.306 0.760 L1.Micron_Tech 0.644562 0.154599 4.169 0.000 L1.Qualcomm -0.012094 0.078228 -0.155 0.877 L2.Apple -0.040493 0.084857 -0.477 0.633 L2.Broadcom 0.047245 0.043623 1.083 0.279 L2.Micron_Tech 0.015690 0.150394 0.104 0.917 L2.Qualcomm -0.095531 0.086553 -1.104 0.270 =================================================================================
何期前 | 銘柄 | prob |
L1(1期前) | マイクロテクノロジー(MU) | 0.000 |
1期前の自分自身(マイクロテクノロジー)株価の影響を受けていることがわかりました。
しかしアップル(AAPL)の株価の影響をみると...
何期前 | 銘柄 | prob |
L1(1期前) | アップル(AAPL) | 0.732 |
L2(2期前) | アップル(AAPL) | 0.633 |
1期前の影響力(prob)は0.732(73.2%)、2期前のそれは0.633(63.3%)となっており、マイクロテクノロジー(MU)もアップル(AAPL)は重要な取引先ではありますが、アップル(AAPL)の株価の影響は受けてないことがわかります。
さて、残るはクアルコム(QCOM)ですね~
どんな結果が出てくるでしょうか?
結果は次回の記事にて!