『ナスダック指数上がりすぎでしょ?!』
米国株に投資をしている人の大半は今、こんなことを思っているんじゃないでしょうか?
かく言うジェイも、ナスダック指数は上がり過ぎだと思っています。
その反動で、今は調整相場(反落)していると思っていますし、前回の記事で指摘したとおり、10,800の水準を下方ブレイクして、もう少し下の水準まで下落するとも思っています。
前回の記事
しかし、ナスダック指数がこのまま下落のトレンドへ転じる可能性は低いでしょう。
この軸が崩れない限り、米株が上昇トレンドから下落トレンドへ転換する可能性は限りなく低いでしょう。
なので、10,800を下にブレイクしてもすぐに... たとえば来週中にも、再び上昇トレンドへ戻る可能性があります。
そこで今回の記事では、なんでナスダック指数にそんな強気なのか?この理由について説明します。
結論
・ナスダック指数は下落してもすぐに上昇する
・今週はハイテク株の買いチャンスをさぐる1週間
この記事の対象となる人
・ナスダック指数の予想に興味があるひと
・米国のハイテク株を取引したい人
今は『政策相場』
なんでジェイはそんなにナスダック指数に強気なのか?
その理由は、現在の米株が『政策相場』にあります。
政府による大規模な財政政策や中央銀行による金融緩和政策が『将来景気を回復させるだろう!』という期待を投資家が抱いている状況をいいます。
・財政政策って?
簡単にいえば、私たちが納めている税金を道路や建物に使って、景気を回復させましょうという政策です。
また、トランプ米政権がやっている減税(納める税金の額を少なく)して、個人の消費意欲を高める政策も財政政策のひとつです。
・金融緩和政策って?
簡単に言えば、金利を引き下げる政策です。
金利を引き下げると、企業が銀行から借り入れるとき、低い金利で資金を借りることができます。これは企業にとってコストの削減につながります。
また、日本円やドルを大量に供給する政策も金融緩和政策のひとつです。現在、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(通称FRB)は、大量のドルを金融市場に供給しています。それが株式投資の資金として利用され、現在の米株高トレンドを支えているのです。
今年の3月下旬にトランプ米政権とFRBは、大規模な財政政策と金融緩和政策を同時に打ち出しました。
その後、ナスダック指数に何が起こったのか?チャートで確認してみると...
ナスダック指数のチャート
今年の4月以降、見事な上昇トレンドを描いていることがわかります。
3月の株安と比較すると、政策インパクトのすごさがわかりますね。
政策が将来景気を回復させるという期待にサポートされた『政策相場』という軸が折れないかぎり、ナスダック指数はすぐに上昇トレンドへ戻るとジェイは予想しています。
Pythonでナスダック指数を予測 !
さて、ナスダック指数には総合指数と100指数の2つがあります。
この記事では『ナスダック総合指数=ナスダック指数』とします。
今回の予測モデル
ナスダック指数を予測するために、今回採用したモデルは『ARIMAモデル』というやつです。
以下にざっとまとめますが、読み飛ばしても記事の内容は理解できますのでご安心ください!
ARIMAモデルについて
まぁ、簡単に言えばARIMAモデルは、将来の価格を予測するときによく使われるモデルのひとつ、ということです。
前置きはこのくらいにして、さっそく分析してみましょう。
ARIMAモデルで分析!
今回使う価格データの期間は『2020年3月23日~9月11日』です。
なぜ、3月23日からなのか?
上でも述べましたが、3月23日にアメリカの中央銀行にあたるFRBはこの日『無制限緩和』という前代未聞の政策を打ち出しました。
そして、この時を起点にナスダック指数の上昇トレンドが始まったので、3月23日から先週末(9月11日)までのデータをもとに予測していきます。
分析結果
『うわ!わかんねー!』、と思う必要はありません。
赤い文字の部分だけ見てください。
『AR=1』とは『1日前のナスダック指数の価格に影響を受けている』ことを示しています。
『I=1』とは、『1日分の差分を取るとARの予測の精度が上がる』ことを意味しています。
『MA=0』とは、今回のデータでは『何日前だろうと誤差の影響は受けない』ことを意味しています。
予測チャート
青のラインが予測された価格です。右肩上がりになっています。
これは、ナスダック指数が上昇トレンドへ戻る可能性を示しています。
ARIMAモデルでは、詳細な動きをすべて説明することはできません。
しかし『上がるか?』『下がるか?』を簡単に予測することはできます。
取得したデータから、ナスダック指数は上昇トレンドへ戻るという結果となりました。
予測はあくまでも予測なので、将来確実に起こるわけではありません。しかし、判断材料のひとつとはなるでしょう。
ナスダック指数とVXN指数
ARIMAモデルだけでなく、もうひとつナスダック指数が上昇トレンドへ戻る可能性を示す指数があります。
それが『VXN』という指数です。
ナスダック版恐怖指数のことです。正式名はCBOE NASDAQ-100 Volatility Index (VXN)といいます。ナスダック100指数(NASDAQ-100)のオプション取引価格から算出される指数です。VXNの数値が高いほど、投資家が相場の先行きに不透明感を持っていると判断します。
このVNXのベースはナスダック総合指数の兄弟指数『ナスダック100』ですが、ナスダック総合指数のトレンドを予測するときに必ずみる指数です。
簡単に言えば...
VXNが上昇トレンドにある場合、ナスダック指数は下落する可能性を示します。
VXNが下落トレンドにある場合、ナスダック指数は上昇する可能性を示します。
では、VXNの動きをみてみましょう。
VXNのチャート
今年3月のコロナショックのとき、VXNは『84.67ポイント』まで急激に上昇しました。
もちろんナスダック指数は急落しました。
次に9月の動向をみてみましょう。
9月に入ると、VXNはすぐに上昇していることがわかります。
しかしその勢いは続かず、先週は低下しました。
VXNが低下するということは、投資家の恐怖心理は後退していることを示しています。
前回の記事で書いたとおり、ナスダック指数は『10,800』を下にブレイクするとジェイは予想しています。
しかし、ARIMAモデルの予測とVXNの低下を考えるならば、ナスダック指数は『10,800』を下抜けても、すぐに上昇トレンドは戻るともジェイは予想しています。
なので今週は、ハイテク株の買いチャンスをさぐる1週間となる、とジェイは考えています。
今回のまとめ
・ARIMAモデルはナスダック指数が上昇トレンドを維持すると予想
・ナスダック版恐怖指数の『VXN』は低下基調にある
・今週中にもナスダック指数は上昇する可能性あり
・今週はハイテク株を買うチャンスを探る1週間か
今回は以上です。
時系列に並んだデータから将来を予測するためのモデルです。『アリーマ モデル』といいます。『AR』『I』『MA』を組み合わせて将来どうなるかを予測します。
・ARって?
ARは『自己回帰』という意味です。簡単に言えば、今日の自分自身はどのくらい前の自分自身に影響されているんだろう?ということを表しています。
例えば、今日のナスダック指数の価格は何日前のナスダック指数の価格に強く影響しているんだろう?あ!2日前の価格に強く影響している!というふうに考えます。
・I って?
これは『差分』を表しています。例えば、今日と昨日の価格を引いた値が『差分』となります。ARの予想精度を上げるために『差分』を取ります。
・MAって?
MAは『移動平均』という意味です。簡単に言うと、今日の株価はどのくらい前の誤差に影響しているんだろう?ということ表しています。
例えば、今日のナスダック指数は1日前の誤差に強い影響を受けている!というふうに考えます。