昨日は、米国の金融政策を決める会合に市場の注目が集まりました
米連邦公開市場委員会(通称FOMC)です。
簡単に結果をまとめると...
- FEDの予測では2022年末までゼロ金利の政策を続ける
- 資産の購入額は当面、月額で1,200億ドルとする
- 長期の金利を一定の低い水準に保つ「イールドカーブ・コントロール」を検討中
となります。
ジェイが懸念していた株高に対するけん制発言はありませんでした。
しかし、今回の会合では重要な情報を得ることができました。
今日はこの点についてお話します。
今回のポイント
「ドル安が進む可能性大!」
今年と来年はドル安の年?
FOMCの結果を受け、ある市場であるトレンドが発生しました。
それは...
「外為市場」
です。
どんなトレンドだったのか?
それは...
「ドル安」
です。
実際に、取引量の多い主要な通貨ペアをピックアップすると、ドル安が世界的に高まっていることがわかります。
まずは、ドル円からみてみましょう。
ドル円は重要サポートポイントの107円をブレイク
ドル円が110円のブレイクに失敗して以降、市場の参加者は107円台の維持に注目していました。
なぜか?
このポイントは、5月の中旬以降...
「サポートポイント」
として意識され続けてきたからです。
しかし、現在は107.00をあっさりと割り込む展開となっています。
2005年以降、株高の局面では円を売る動きがトレンドパターンとなっています。
その株高が続いているにも関わらず、今まで相場を支えてきたサポートポイントを下抜けたということは、ドル円の下落がさらに進行するシグナルとなり得ます。
ドル円の下落だけを見れば、ドル安ではなく円高によって下落した、と考えることができます。
なので、他の主要な通貨ペアも確認しましょう。
ユーロ/ドルは1.14レベルをトライする展開に
まずは、外為市場の中で最も取引量が多いユーロドルです。
チャートを見ると...
1.1400の水準を突破していることがわかります。
この水準は、3月上旬にコロナショックの時に上値を抑制した水準です。
現在は、この水準を再びトライする状況となっています。
ユーロ圏の経済もコロナショックで相当なダメージを受けています。
また、欧州の中央銀行(ECB)も米国のFEDと同じく、金融緩和のスタンスを維持しています。
ユーロを積極的に買う材料がないにもかかわらず、ユーロドルが上昇している、ということは...
「ドル安の圧力がさらに高まっている」
と考えるしか説明がつきません。
英ポンド/ドルは1.28レベルをトライする展開に
同じ欧州通貨の英ポンドはどうでしょうか?
対米ドルのチャートをみてみると...
こちらも上昇していることがわかります。
注目したいのは、1.2800の水準まで上昇していることです。
なぜ1.2800が重要なのか?
それは、今年の3月にコロナショックが発生するまで...
「サポートポイント」
として意識され続けてきたからです。
昨日は、瞬間的にせよ1.28台へ上昇する場面がありました。
英国は、未だにブレグジットのリスクに直面しています。
EUとの新たな通商交渉が行き詰まっており、今年の末まで話し合いが進まなければ、来年の英国経済は、貿易と雇用で大きな打撃を受けることになります。
そんなリスクに直面している英国と通貨「ポンド」ですが、1.28レベルまで上昇しているのです。
1.28台へ再上昇したあとに、この水準が再びサポートポイントとして意識されるムードすら高まっています。
なぜか?
「ドル安の圧力がさらに高まっている」
からです。
豪ドル/ドルは0.70レベルをトライする展開に
欧州通貨だけでなく、日本人にも人気のあるオーストラリアの通貨「豪ドル」はどうでしょうか?
対ドルのチャートを確認すると...
節目の0.70をトライする展開となっています。
豪ドルは、中国の経済状況でトレンドが左右されやすい通貨です。
詳しくはこちらのコメントをご覧ください。
中国の経済は回復の基調にあるとはいえ、コロナ前の水準に復活しているわけではありません。
しかし、3月の下旬以降、豪ドルは対ドルで上昇し続けています。
3月の下旬に何があったのか?
そう、FEDが無制限の金融緩和を決定したのです。
これはドル安要因です。
つまり、豪ドルは最も早い時期から...
「米ドル安のトレンドに乗った通貨」
と言えます。
すべての根底にあるのは「米ドル安」
ドル円の下落、ユーロドル、ポンドドルそして豪ドル/米ドルの上昇...
これらすべての根底にあるのは...
「米ドル安」
です。
アジア、欧州そしてオセアニアの通貨に対して米ドル安となっているということは、米ドル安の圧力が世界的に高まっていることを意味しています。
米ドル安の土台となっているのは...
「FEDの超金融緩和政策」
であることは、このブログ(idM)で述べてきました。
この政策が2022年末まで続く予測が出てきたことを考えるならば、今年と来年の外為市場は、米ドル安の加速を意識する場面が多くみられると、ジェイは予想しています。
まとめ
今回のまとめです。
- 米国の中央銀行であるFEDは、2022年末まで超緩和政策を続けると予想
- 超緩和政策は、米ドル安を加速させる要因である
- 今年と来年は、米ドル安の加速を意識する場面が多く見られるだろう