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米株の水準は高すぎる、しかし...

パウエルFRBが無制限に米ドル資金を供給する政策を導入していることで、4月以降の米国株式市場は上昇局面にある。

しかし、企業の業績期待を反映する予想EPSと現在の株価水準を比較すると明らかに「高すぎる水準」にある-

これが前回までのお話でした。

今回はもう一つ別の指標を用いて、米国株式市場の水準が高すぎることを指摘します

そして、後半ではある疑問をみなさんに提示します。その疑問とは...?

株価収益率-PER

今回採用する指標は「PER」です。

PERとはPrice Earnings Ratioの略です。日本語では株価収益率と言います。PERは以下の式で計算されます。

PERの計算式

前回コメントしたEPSが分母にありますね。

EPSとは一株当たり利益のことでした。つまり企業の収益を見る指標となります。

そして予想EPSは、企業の予想収益に対する期待を反映する指標でした。

よってPERは、現在の株価と収益のバランスを考える指標と言えます。

PERをどうやってみるか?

次は基本的な見方について。

PERは株価と企業の収益力を比較する指標です。表現方法は倍数となります。

例えば分子の株価が100米ドルで分母のEPSが5米ドルの場合、PERは20倍(100÷5)と表記します。

割高と割安の境界

明確な定義はありませんが、一般的にこの「20倍」という値が、PERを考える上で重要な値と言われています。

20倍を超えるということは分子の株価が上昇するか、分母のEPS(企業の収益)が低下するかのどちらかになります。

よって20倍を超えるPERは、その企業の株価が稼ぎ出した収益に対して「割高」シグナルとなるのです。

逆にPERが20倍を下回るケースでは分子の株価が下落するか、分母のEPS(企業の収益)が上昇するかのどちらかです。

重要なのは、やはり分母のEPS(企業の収益)方でしょう。

企業の収益が増加しても株価が上昇しないということは、その企業は「割安」だからです。

そしてこのPERは、株価指数全体のパフォーマンスを測る際にも用いる指標です。

では次に、米国の株価指数とPERの関係についてみていきましょう。

PERでも米株は高すぎる水準

株価指数には今回も機関投資家(プロ投資家)が重要視するS&P500で考えます。

前回のコメントでも指摘しましたが、今年の3月以降、予想EPSは低下一辺倒の状況となっています。

これは、将来の企業の収益が低下することを株式市場の参加者が予想しているからです。

雇用や製造業そして個人消費関連といった各指標データが軒並み落ち込んでいる状況を考えるならば、市場関係者の悲観的な予測はもっともです。

重要なことは「EPSの低下はPERの上昇を意味する」ことです。

分子の株価が上昇し、分母のEPS(企業収益)が低下すればPERは当然上昇します。

問題はその水準です。

米株はすでに割高の水準にある

年初来の推移をチャートで確認してみると、このコメントを書いている時点でのS&P500のPERは、21.55倍です。

そう、基準となる20倍を超えているのです。

21.55という数値をどう捉えるかは個々人によって違うでしょう。

しかし、多くの投資家が基準とする20倍を超えているということは、現在の米国株式市場は「割高」にあると言えます。

S&P500 PERの推移(年初来)

ナスダック指数はさらに高い

S&P500のPERは21.55倍ですが、この水準を超える米国の株価指数があります。

それは...

ナスダック指数」です。

このコメントを書いている時点(2020年5月21日)の総合指数のPERは26.74倍です。

そしてナスダック総合指数から時価総額上位100(金融セクター除く)で構成されるナスダック100に至っては29.03倍です。

なぜこんなにもPERが高いのか?

それはナスダック指数が4月以降の上昇で何と年初来でプラス圏へ浮上する等、異常なほどの上昇となっているためです。

そう、分子の株価だけが急速に上昇した結果、S&P500をはるかにしのぐ高PERとなっているのです。

では、実際にどれだけ株価が上昇しているのか?S&P500との比較で確認してみましょう。

米国株価指数のパフォーマンス
基準日:2019年12月31日 / 2020年5月20日時点のパフォーマンス

上の年初来のパフォーマンスチャートを確認すると、ナスダックの各指数は基準値100を上回っていることがわかります(年初来プラス)。

対照的にS&P500は基準値100を下回っています(年初来マイナス)。

GAFAは相変わらずの強さ

そしてナスダック100に採用されているアマゾン(AMZN)フェイスブック(FB)は、コロナショックで米国経済が低迷しているにもかかわらず過去最高値を更新しています。

しかし、企業収益が株価の上昇に追い付いていないため、PERは基準値の20倍をはるかに超える水準まで上昇しているのです。

ちなみに2020年5月20日時点でのフェイスブック(FB)のPERは33.09倍です。アマゾン(AMZN)のPERに至ってはなんと119.32倍です!

PERが、もはや株価と収益を測る指標としての意味をなしていない水準にあると言えますね。

収益が増加しないのに株価だけが上昇する-

これは前回のコメントや冒頭で指摘してきたパウエルFRBによる無制限緩和のインパクトがいかに強いかを示唆しているのです。

株価の水準は高すぎるが...

米国株式市場は明らかに上昇トレンドへ転換しています。

しかし、予想EPS(企業の業績)やPER(株価と業績との比較)で考えるならば、米国株式市場は割高の水準にあります。

だけどここで一つの疑問が出てきます。それは...

トレンドと水準どちらを重視すべきか

という疑問です。

どちらも投資では重要な判断要素となります。

idMの管理人ジェイもこの点についていつも悩んできました。

しかし、過去の経験則に沿うならば私はある一方を重視しています。

次回はこの点についてお話します。

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